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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

谷に泳ぐ 

2011/04/30
Sat. 01:17

今年も酒谷(さけだに)にこいのぼりが泳ぎはじめました。
万善寺への道中心待ちにしていたのですが、このところ天候不順で大風が吹いたりしていたのでいつもより少し遅くなってしまったようです。

川向こうが銀山街道。
この辺りはたたら製鉄が盛んで、多くの遺構が発見されていたり、銀や鉄の製産権を争って多くの出城もあったりしてなかなか歴史的に興味深い地域でもあります。

一方で、谷深い急斜面に作られた棚田の続く風景は、見た目はのどかにみえても日常の暮らしにはなかなか厳しいものがあって、この近年特に耕作放棄地が急激に広がっていて人の生活感が失われつつあります。

耕作放棄地は、そのうち葛がはびこってきます。
その葛を目当てに山からタヌキやムジナやイノシシなどの動物が一気に下りてきます。
やがて動物達は、葛のはびこる元田んぼのすぐ隣にある畑や水田を荒らしはじめます。
2・3年で山の境界が一気に人家近くまで押寄せてきます。
そうなると人々はトタンや電熱線やネットの塀の中での農作業を強いられることになります。

耕作放棄をして土地を荒らしたのも人。
その土地に入り込む動物達に苦しめられるのも人。
ついこの前まで仲間だったはずの隣人が、だんだん気まずい付き合いに変わっていく。
風景の変化は、人の連帯が崩れていく厳しい現実をつぶさに感じさせてくれます。

酒谷の風に泳ぐこいのばりは、そのような人々の暮らしの変化の中でいつまで泳ぎ続けてくれるのでしょうか?


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2011-04