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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

逃避 

2013/08/21
Wed. 07:34

最近、かなりご無沙汰の石見銀山。
寂しいもので、忘れ去られたごとき存在のオヤジに、吉田家の誰からもこれといった連絡がないまま依然として寺暮らしが続いています。
お盆の恒例行事も一段落したので、いつもだったら早々と荷物をまとめて万善寺唯一の屋根裏部屋を引き払うのですが、今年はどうもそういう訳にいかなくて、何となくモタモタしています。

「何時もお世話になってますぅ〜。クロス補習の請求書お持ちしたいんですが、いらっしゃいますかぁ〜」
彫刻台を修繕してもらっているクロス屋のお兄さんから電話が入って久々に彫刻家の血が騒ぎました。
「こちらこそ、毎度毎度お世話になりっぱなしで、すんませんなぁ〜」
「今度は総張り替えがいいですねぇ。あれじゃぁ、もう保たないですね。みっともなくなるばかりだし・・」
「いやぁ〜、確かに!そうだろぉ〜なぁと思ってたところよ。なんかパッチワークみたいになってるし・・・」
毎回展覧会の度に増生産しつつ移動して酷使している展示台も、すでに6回の彫刻展を持ちこたえ、アチコチ汚れたりはがれたりして、どんどん精度が下がってきています。
今年は何とか予算確保して、展示台の総張り替えを計画しようと思っていたところでした。
いずれにしても、このような什器は、一方で消耗品に近い取り扱いだし、保管場所の確保だけでもなかなか厳しいものがあります。
寺暮らしとは全く違うもう一つの現実から声がかかって、私の心は一気に彫刻の世界へ引き戻されたような気がします。
お兄さんのお陰です。

その電話で思い立って、万善寺老師夫婦を慰労会へつれだしました。
行く先は寺の近所にあるおそば屋さん。
出不精のおかみさんは、くの字に曲がった腰と伸びきった膝を駆使してヨチヨチ歩き、やっと車の乗り降りをすませ、おそば屋さんの椅子へ着地。
すでに、身体全体からオシャレの感覚がすっかり消えてしまって、横溝正史ワールドが漂ってきます。
久々に外出の老師の方は、日頃おかみさんの罵声を浴びせられながらの献身的??な介護のおかげで、若干痴呆も進みいたって能天気に浮かれています。
それでも二人とも、まだまだ自分のことは自分ですまそうという気持ちがしっかり残っていて、見苦しいほどにだらしない食事風景ではあるものの「旨い旨い」を連発しながら食べて、何となく慰労会終了。

15歳で万善寺を出て一人生活に入って、結婚して自分の家族も出来て、すでに40年以上。
老師夫婦との共同生活はたったの15年ほど。
まぁ、そのような状態ですからそれぞれの人格も微妙にズレたところで形成されていて、今さら意見や考えの相違を修正できる訳もなく、狭い寺の庫裏で窮屈な同居をする中で、それぞれの不満やイライラが溜まる一方。
いまだに万善寺の至る所で大正と昭和の風習が鮮度を保ったまま根付き、履き違えた慈悲の心が彼等を支配し、通用もしないプライドに縛られ、崩れ去った上下関係にしがみつきながら暮している夫婦を見ると、自分の不徳を解っていながら半世紀近く離れて暮していたツケに苦しめられる毎日です。

ひとまず、この呪縛の世界から逃避あるのみ。
あとは時間が解決してくれるだろうと気楽に考え、オヤジの夏休みが1日くらいあっても良いかな?・・などとウキウキのネタを探しつつ、まずはこれから荷造りスタート。

写真

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2013-08