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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

とんど祭りの一日 

2014/01/14
Tue. 10:01

さすがに万善寺の夜は寒くて、冬用のシュラフに潜り込んでもどこからとも無く冷気が入り込んで、はく息が白くなります。
家の中でこの状態ですから、外はもっと寒いことだろうと思いながらとんどさんのおつとめのシミュレーションをしてもなかなか集中出来ないでウツラウツラしながら朝を迎えました。
案の定、外はパラパラと軽い雪が舞っています。
エイヤッと勢いでシュラフから出て、本堂へおふだなど一式運んで、法衣に着替えておつとめの後、大般若経の1巻と仏具などを持って集会所近くの空き地まで出かけました。

歳徳神尊前回向のあと、「降伏一切大魔最勝成就!」・・・
地域内各家からお集りの老若男女の皆さんへ一人ずつ大般若の風をおくり、今年一年の身体安全無病息災などを祈念して、そのあと、お神酒や洗い米、こぶなどをいただいて、とんどさんのお祭りが無事終了しました。

地域の人口が減りはじめた頃に行事の見直しをして、この近年は、とんど祭りに併せて新年会をすることになっています。
私も大急ぎでいつもの私服に着替えて新年会へ参加します。
にぎやかなことが好きな東堂さんも新年会へ出たいのでしょうが、厳しいおかみさんの許しをもらえないまま庫裡でおとなしくお留守番です。

東堂さんの同級生が、まだ4〜5人健在で、少年時代の悪友2人が出席。
お二人とも、薬の話しや病院の話題を肴にしながら、なかなかの酒豪ぶりでカクシャクとしていらっしゃいます。
今年は米寿のお祝いをもらえると云うことで楽しみにしていらっしゃるとか・・
私も、日頃法事でのおつき合いなど、お年寄りとの会話は比較的多い方ですが、仏事を離れた宴席の付き合いはほとんど無いので、こうして酒の勢いでどんどん飛び出す昔の苦労話に思わず引き込まれてしまいます。

学校から帰ると、鞄を玄関へ放り込んでそのまま日が暮れるまで野山を遊び回っていたこと。
田んぼへ水宛ての水車を止めてこっぴどくおこられたこと。
田植えが終わったばかりの水田へ入って泥鰌や田螺をとってしかられたこと。
農業用水路がわりの川へ入って魚採りをしたこと。
山へ入り込んで四季折々の木の実を収穫したこと。
そんな少年時代の様々な思い出話しに花が咲きます。
古稀や喜寿のお年寄りもまだまだ若造の扱いで、今年で還暦の私など住む世界が違うと云った感じです。

大人になると・・
農繁期は1日中田んぼへ出かけ、田の畦で昼飯を食べ、手間替えで働き、三時には一杯出て、日暮れまで働く。
春から秋の朝飯前には田の畦の草刈をして牛を育て、ひと仕事終わってからやっと朝食。
冬になると毎日朝から山へ入って木の切り出し。
朝から木馬(キンマ)を引いて林道を登り、途中昼飯を食べて休憩し、また木馬を引いて山を登り、1日の仕事はそれで終了。
雪でぐっしょり濡れた箕や雪草鞋を一晩囲炉裏で乾かし、翌日は丸太が荷崩れしないようにくさびをかましながら木馬に木材の積み込み。
その夜も箕や雪草鞋を一晩囲炉裏で乾かし、翌日は山から木馬の引き出し。
登りも大変だが下りはもっと難しくて命がけ。
休憩しながら一杯ひっかけ、昼食が終わって一杯ひっかけ、その日のひと仕事の打ち上げで一杯ひっかけ、家に帰って夕食で一杯ひっかけ、箕や雪草鞋を一晩囲炉裏で乾かしつつ消耗品の箕や雪草鞋を造り溜める。
それが一冬繰り返されるという、今では想像もできないような過酷な肉体労働をしのいできた米寿の底力には圧倒されます。

「小学校の頃にゃぁ、そこの川へやまべがおったけぇのぉ〜。コイやフナぁ釣ろぉ思うたら、ずぅ〜っとしもへ下って濁ったような溜まりまでいかにゃぁいけんだったがのぉ〜・・
ダムが出来たなぁええが、水が溜まったらコイやフナぁ、み〜んなダムまでさがってしもおてのぉ〜・・・」

水がきれいでないと住めない魚もいるし、少々汚れていても住み心地の良いダムへ集まる魚もいる。
人の暮らしも似たようなものだと、そう思ったところです。
これから先、山で暮らす人もどんどん少なくなって、一人もいなくなる日が来るのかもしれません。
さて、万善寺はいつまで存続するやら・・・

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