FC2ブログ

工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

彫刻の残像 

2014/03/20
Thu. 08:56

最初の彫刻を12月のうちに田んぼへ設置して、それから約3ヶ月が経ちました。
自分にはこの月日がとても早く過ぎたように思います。

先日、大森小学校の卒業式があって、その夜は駐在さんの定年退職送別会があって、その次の日に田んぼの彫刻を移動して、明日は春彼岸の法要です。
大きな節目が幾つもやってきては通り過ぎていきます。

今回の彫刻展の依頼者は、石見銀山に本社のあるアパレル企業の代表です。
彼は私より一つ年長なので、丁度退職の駐在さんと同じ年と云うことになります。
自治会の要ともいえる人ですから、送別会のためにわざわざ出張先の東京から帰ってきたようです。
彼と会話を交わしたのは、さて、今年に入ってから2回目だったでしょうか・・
どうしても60歳という年齢のことが話題になると云うことは、やはり、それぞれ当事者がそれぞれ自分なりに行く末を考えて気持ちを固めているようなこともあるようで、今後の身の振り方を念頭にしつつも、さりげなくお互いを牽制しているような、何とも居心地の悪い会話がしばらく続きました。

彼は、60歳になってまだまだやりたいことがいっぱいあって、もうひと花咲かせる勢いの元気ぶりでした。
駐在さんは退職後の再就職も決まって、すでに気持ちは次のステップに向いている感じです。
さて私はというと、60歳の節目にひとまず彫刻の個展をすることが出来たということ。
その程度のことで、何が大きく変わっていることも無く、相変わらず寺の高齢者夫婦を気遣いつつ、未だに大人になりきれない高校生の娘と付き合いつつ、気ままに一人暮らしの子供たちと軽い付き合いをしつつ、ワイフに食べさせてもらっている程度のことです。
それぞれの暮らしぶりには、ただ年齢が近いと云うだけで、いくら共通点を探しても見つからないほどの大きなズレが生じています。

12月に設置した彫刻を撤収すると、面白いほど元気に成長した田んぼの雑草が、彫刻の残像になって残っていました。
それは、まさに私の狙い通りでもあって、密かにひとりで感動しました。
冬の風雪に耐えた鉄のぬくもりが、雑草を育ててくれたのだとわかります。
固まりとしてのかたちの必然性を具体的に確かめることも出来ました。
予測のズレもわかったし、それを修正する方向も見えたような気がします。
今までの自分の積み重ねが、確実に一歩前進したことを確信出来ました。

といっても、結局は自分だけの勝手な自己満足だったりするんですけど、それでいいんです。
今の自分は死ぬために生きているわけですから、そういう頑固なところがあってもいいんです。
あの彫刻のような残像が残せたらいいなぁと、しいていえば、それがこれから進む方向なのかもしれません。

IMG_5514.jpg

[edit]

CM: 0
TB: 0

page top

2014-03