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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

夏の海 

2014/08/24
Sun. 09:10

ほんの2〜3日前に、「寺のことはしばらく忘れるぞ!」と心に決めたばかりなのに、結局は盆月のことで何かと色々な用事が入ってなかなかキッパリと割り切るまでには至らない。

本堂の荘厳を片づけることがあったから、少しばかり吉田家の用事と事務仕事を片づけて万善寺へ向かった。
運良くというか、運悪くというかなかなか微妙だが、丁度寺のジジババの昼食時に到着した。
「ビールでも飲むか?!」
色々不具合があるものの歳相応に元気な老僧が誘ってくる。
これから仕事だからとビールはことわったが昼食まではことわり切れなかった。

ワイフが寺のまかないで手伝いにきてくれた時、モロヘイヤとオクラを刻んでかつお節を混ぜ込んだ冷ややっこの薬味を作ってくれた。
冷ややっこの定番ではないが夏のシーズンにピッタリはまって、私個人としては美味しいと思うし、その薬味だけで豆腐一丁まるごと食べてそれが三食出てもなんの文句もない。
だいたいに私はそばとどっこいくらい豆腐が好きだから、寺暮らしの間もほぼ毎日のように豆腐料理を自分でつくって食べていた。
夏の定番はやはり冷ややっこだと思うが、夏の湯豆腐もすてがたい。
豆腐ステーキもなかなかボリュームがあっていい。
豆腐の卵とじはごはんにかけて丼にするのもいい。
まぁそんな感じで、ワイフが手伝いに来るまではジジババの横で毎日飽きることなくひとり豆腐を食べ続けた。
そして、例の薬味の冷ややっこになる。
ジジババにはあまり評判がよろしくなかったようだが、質素な寺暮らしに染まりつつあった私には久々のヒットだった。

世間ではお袋の味がどうとかよくいわれたりしているが、私には「ワイフの味」がしっくり馴染む。
15歳の時から長い間一人暮らしが続いていたせいもあって、お袋の味にこれといった執着がない。
むしろ田舎者にとってはバイト先で教わった都会的なドレッシングや生姜焼きのタレの味の方が衝撃だった。
バイト先は新宿三越の裏にあって、そのすぐ近所に吉野家があった。
すき焼きというと親鳥の肉ばかりだったから、生まれてはじめてご飯が隠れて見えないほどのあれだけ大量の牛肉をたべた。
貧乏学生にとっては贅沢この上もなく、あまりの衝撃で胃腸がビックリしてそのすぐあとに腹が下った。
そんな昔を思い出しながら荘厳を片づけた。

夕方になってキーポンをピアノ教室まで送った。
帰りに海へ行こうというので、久々に日本海を見に行った。
気がつかない間にずいぶん日が短くなっていた。
イカ釣りの灯が水平線に点在していた。
キーポンは夕暮れの浜辺でしばらく波とたわむれていた。
いつもの駐車場で家族連れがバーベキューを楽しんでいた。
久々の潮の香りだった。
高校生キーポンの最後の夏が終わったんだなと思った。

「バイトは飲食業がいいぞ」
「食べ物に困らないからでしょ」
「まかないもつくし、社会勉強もできるし」

キーポンは、もう半年もしないで一人暮らしがはじまる。

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2014-08