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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

刻の鐘 

2015/05/10
Sun. 22:35

久々の年回法事は目茶苦茶眠かった。
このところ老僧が一晩中ゴソゴソ動き出したり、アァーウゥー唸って独り言が止まない。
それでなくても不眠症のうえに、ウトウトしかけたところへそれがはじまるから、結局朝まで眠れないまま本を読み続けて夜が明ける。
おかみさんも老僧のおかげで眠れなくて機嫌が悪いし、万善寺の朝食は散々な状態で始まって終わる。

いろいろ準備をして法事へ出かけた。
ご親族が関東や関西広島あたりからお参りされていてにぎやかだった。施主家の跡取りさんは出雲に在住だが、その家族が一番最後に到着されて、結局お昼前から法事が始まった。
寝不足で眼鏡の焦点が定まらないでお経の文字がチラつく。
参列の皆さんは、それぞれ必死で経本の修証義にかじりついておつとめされているから、坊主がお経を間違う訳にはいかない。
5月とは思えないほど暑い1日で、衣替え前の袈裟に身を包んで大汗をかいた。

仕出し弁当の斎膳をいただいて、ノンアルコールのビールも飲んで寺へ帰ったら、一気に眠気が襲ってきた。法衣をたたんで後片づけをしてロフトに上がったら、知らないうちに爆睡していた。
2時間近く寝ただろうか・・気がつくと老僧が珍しくテレビをつけている。
そうか!今日から大相撲が始まったんだ。大相撲は彼の唯一の趣味と言っていい。
前回は、相撲中継の前半が終わったあたりで入院することになった。結局、病状も若干回復して退院できたし、こうしてまた大相撲を観ることも出来た。本人は何を考えてどう思って大相撲を観ているのだろう?
このところ、急激に脳の機能がショートし始めているが、それでもまだまだ正気なところもずいぶんたくさん残っていて、相撲中継が終わった途端に大声でおかみさんを呼びはじめた。
何事かと思ったら、しかめっ面で一言「鐘!」
そうか、夕方の刻の鐘の時間だった。
あわてて割れ鐘をついた。

寺の前の田んぼで営農組合の人達が田植えをしている。
「昔は田植えというと6月の梅雨になってもまだ終わらないで田んぼに入ってましたなぁ〜」
斎膳の席は田植えと、それにこの春全線開通した松江道の話題で盛り上がった。
5月の台風も来ているようだし、地球の環境も大きく変ってきたものだ。道も田んぼもこの50年でずいぶんスピードアップしている。
変らないのは、1年中老僧夫婦が守り続けている万善寺の刻の鐘くらいかもしれない。
さて、それが私の代に引き継げるかどうか・・・まぁ、無理だろうなぁ・・

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2015-05