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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

破れ鐘 

2015/05/21
Thu. 20:43

おかみさんを病院へ連れていって、老僧の相手をお願いしてから寺へ引き返した。
心置無く2時間ばかり草刈り機を振った。
色々あって草刈りを一回分飛ばしてしまったから、その間に伸びた草が本格的に丈夫に密集してエンジンへの負荷がかかる。
フッと、筋肉痛の苦しみが脳裏をよぎったがしかたがない。

ついでにもう一つフッと、先日の副住職披露の宴席を思い出した。
ある坊さんの一言・・・「ぼく、趣味でよく広島へツーリングするんですけど、ちょうど万善寺さんあたりが真ん中くらいで・・・」うんぬん・・・
街場のお坊さんは、同じエンジンでもV型2気筒とか直列4気筒とか、そんな話で普通に盛り上がったりしていらっしゃる。
そういえば、数年前にもミニがどうとかワーゲンがどうとか話していらっしゃった和尚さんの横へ結界君を駐車したら、
「あの後ろの荷台スペースって役に立つんですか?」
「さぁ、別に無くてもいい感じだけど、珍しいですよね、はじめて見ました。なんか意味あるんでしょうね・・」
だって!
あれって、わざわざ私に聞こえるようにしゃべってたのかなぁ??
どうせあたしゃ、変な軽に乗ってバイクにも外車にも何の縁もないまま、作務と称して混合のエンジン草刈り機振って汗流してなんぼの坊主ですよ!
世間で云うところの単なるヒガミですけど、坊主の世界もピンキリ色々あるってことですよ。

ドクターの病状説明と今後の医療対策をおかみさんと聞いて帰ったら、そろそろ夕方の鐘つきの時間だった。
散歩がてら境内から参道の営繕の状況を確認したついでに破れ鐘をついた。
その梵鐘は、老僧の勧進で京都の方まで発注し、ワザワザお檀家さんと鋳造屋さんの仕事場まで行って点眼遷座のおつとめして今の場所に釣下げたもので、まだ、その当時のことを覚えているお檀家さんもいらっしゃるほど新しいものだったのだが、私が長らく寺を離れている間にいつのまにか割れが入って、そのまま放置されつついまだに毎日ガツンガツンと突かれつづけているかわいそうな梵鐘なのだ。
よく見ると、造りの方は結構いいかげんで鋳造の技術も適当な工業製品のひとつと云っていい。
そんなレベルの仕事だから、割れの入った場所以外にもアチコチに怪しい箇所が点在している。
まだ元気だった頃の老僧は、その程度の鐘を思いっきり懇親の力を込めて突き上げてしまったものだから、結局その衝撃に耐えられなくて割れてしまった訳だ。
老僧の思い出のつまった釣り鐘をこれからいつまで突き続けられるか・・・
まぁ、ひとまずおかみさんの身体が動くうちは、毎日夕方になると何とも品のない破れ鐘の音が耐える事もないでしょう。

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2015-05