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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

只今制作中 

2017/09/27
Wed. 23:58

朝から雨が降り始め、工場で彫刻の制作をしている間に本降りになって1日中降り続いた。
結界くんのリヤデッキに現代彫刻小品展の搬出で積み替えたブルーシートや台車などがそのままだったが、一日の雨でずぶ濡れになっているし、降ろしても濡れたものを濡れたまま保管するところもないし、今度良い天気になるまでそのままにしておくことにした。

今年の彫刻は気持ちを入れ替えるというか、初心に帰るというか、とにかくシンプルに造形の根本を大事にしようと決めたところだ。それでも、会場へ訪れる多くの鑑賞者の目を楽しませることも大事なことだから、そのあたりの兼ね合いも含めて制作の最終の落とし所を決め兼ねている。
溶断と溶接と切削研磨の単純作業を繰り返しながら頭の中では次の工程を積み重ねておおよその作業時間を割り出す。夕方に一山越えて、もう一山越えようか迷い始めたのでひとまず小休憩を兼ねて結界くんへ給油することにした。
秋分の日が過ぎてからいっきに日が短くなった気もするが、それは多分雨のせいでもあるだろう。自分としてはもうひと山乗り越えるだけの体力は残っているが、これから延々と1時間ほどグラインダーを回し続けるのも周辺の民家に迷惑で気の毒だし、溶接が一巡したところで本日の制作を終了することにした。

石見銀山の町並みはスッカリ暮れて真っ暗になっていた。
吉田家のポストが郵便物であふれていた。「ワイフがいるはずなのに・・」珍しいことだ。土間へ入ると、「おかえりなさぁ~い」の声が返ってきたが元気がない。ワイフはこのところ、体調が思わしくなくて夕方にはゴロリと横になっていることが増えた。
郵便物の中に彫刻部からの手紙が入っていた。
六本木の美術館に彫刻を置くようになってから野外展示を続けている。
会場の仕切壁が中途半端な高さで、少し背の高い彫刻を造ると、その壁の水平線が邪魔してかたちの緊張感が上下で分断されてしまう。しばらくは我慢して上に伸びる彫刻を造っていたが、どうも納得がいかないまま出品のストレスがたまるようになったので、気持ちの切り替えも兼ねてテーマ設定を変えることにした。それ以来次第に背の高さが低くなって地べたに張り付くような彫刻に変わった。自分では、それはそれで面白い展開になっているのだが、この数年、彫刻部の方から美術館の意向が伝達されるようになって展示の拘束が強まった。
時代の流れというか、一般の風潮というか、私のような土着の彫刻家の土臭い彫刻が美術館から排除されつつある。彫刻が造りにくくなって制作や発表の意欲をそがれることが増えた。東京の美術館への出品も魅力を感じなくなってきた所へ追い打ちの手紙が届いたのが、一日の制作を終わって帰宅した時・・という、なんとも絶妙のタイミング。
世間の彫刻家の90%くらいは、美術館の意向と常識の範囲で制作が出来ているのだろうが、彫刻家吉田正純にはどうもそのあたりのすり合わせが難しい気もしている。

ノッチがニューヨークへ一人旅をした。SNSでその時の写真をいっぱい送ってくれた。
沈んだ気持ちが少しほど楽になった。

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2017-09