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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

野生の事情 

2020/01/22
Wed. 12:27

一応、シーズンは冬だからそれなりに寒いことは寒いが、それでもこの時期で境内には雪も無くて過ごしやすい。
晴れることが多くて朝から雲ひとつ無い青空が広がっていると、自分の住み暮らしているところが中国山地の山の中であるということをつい忘れてしまいそうなほど不思議な気候が続いている。

七日参りを二軒分済ませて庫裏玄関前へ銀くんを横付けして仏具などの荷物を取り出していたら、バッタリ黒猫と遭遇して目が合った。猫の方はすでに車のエンジン音で私の帰宅を察していたと思うが、こちらはそれに気付かないでいたから少し驚いた。
黒猫を境内地の其処此処で見かけるようになってからそろそろ半年くらいにはなるが、これだけ近くで出会ったのははじめてのことだ。
目つきも悪いし鳴き声ひとつ聞いたこともないし、私の存在に気付きつつ完全に無視して適度に安全な距離を維持しながら堂々と眼の前を横切るようなふてぶてしさもある筋金入りの野良猫で人間に懐くことなど無いと思っていた。それがこの度は、手を伸ばせば届くくらいの近距離に猫背を丸めて行儀よく座ってこちらを眺めている。
そういえば正月になって連日寺暮らしが続いていると、ほぼ毎日のように黒猫を見かけるようになっていたから、向こうもしだいに人間(・・というより私)へ慣れてきはじめたのかもしれない。

日常の様々な場面で動物(さすがにクマとかイノシシは別だけど・・)と遭遇すると、とりあえず自分の方から挨拶代わりに声掛けをするようにしている。そうすることで、彼らに対して敵意とか悪意を持っていないということが伝わるような気がする。それに、声掛けをするということで彼等の方も「自分はあの人間に見られている・・」ということを自覚して、私という人間のテリトリーを認識して、その領域内で変な悪さをしなくなる・・・と、なんとなくそういう気もするからだ。
カラスに声掛けをするようになってから、お地蔵さんの供え物を散らかして悪さをするようなことがなくなったし、タヌキを見かけたときも声掛けを始めたらそれまで毎晩のようにマーキングウンコをしていた境内のウンコスポットからウンコが消えた。屋根伝いに庫裏の天井裏へ入り込んでいたテンやイタチや一時期本堂の屋根裏で暮らしていたつがいの山鳩も出会うたびに声掛けを続けていたらそのうちいつのまにかいなくなった。

自分の思い込みだけのことかもしれないが、基本的に野生で暮らす連中に対して人間の生活の思惑や都合を当てはめて善し悪しをみてもしょうがないことだと思う。
畑が荒らされたとか田んぼに被害が出たとかテーブルにあったアジの開きを持っていかれたとか、サンダルを片方持っていかれたとか野生にしてみればいつか死ぬ時が来るまでひたすら生き続けなければいけない、何かしら意味のある重要で正直な生存の行動の一つであるだけのことだ。
あの一見ふてぶてしく見える野良猫も、本人(本猫)にしてみれば実に正直に清貧に毎日を生き続けているだけのことで、人間と敵対して生きているわけではない。
そこらへんに蠢く裏表のある人間たちよりはずっと素直で信用できるな、ボクは・・・

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