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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

境内の春 

2020/03/09
Mon. 23:21

銀座のグループ展用に造っていた小品が形だけ完成した。
あとは2〜3日かけてサビの調子を整えて搬入ギリギリのところで錆止めをすれば出来上がり。
自分では、なかなか面白い彫刻になったと勝手に思っている。

今回の展覧会場は、展示に関してあまり細々と厳しいことが無くて助かっていて、過去にも彫刻に苔やリュウノヒゲを使ったりしたことがある。
自分の彫刻は、ほとんどが展示に制約のない野外で、室内でも美術展示に限ったギャラリーとか画廊での彫刻展示は殆どしない。

今度は、彫刻に蓋を作ってみた。
取っ手は寺の境内にある黒竹を何年か前に切って乾燥させていたものから一節だけ切り取って使った。
彫刻の中は線香を焚くことができるようにしてあって、まぁ、香炉のような彫刻だと思ってもらえば良い。煙も、タバコを吸うよりはずっと少ないし、防火の煙感知器が反応することもないだろう。会場にほんのりと香が漂う感じを彫刻で造りたくて、もう何年も前から試作を続けていて、実は現在も個人的には多少の問題が解決できないでいる。それで丁度これから実使用のデータを重ねながら完成度を高めようとしていたところだった。
新型肺炎が流行しはじめて、展覧会の開催そのものも実施が危ぶまれていたようだから、たぶん来場のお客様も少ないだろうし、会場の展示効果を試すには良い機会になった。約1週間の会期中は会場の受付当番をしながら香炉彫刻の完成度を確かめることになる。

黒竹は、私がものごころついた頃からすでに寺の境内の今の場所にあったから、もう随分と以前から毎年筍が芽吹きながら世代交代を繰り返して絶えないで生き続けているはずだ。
自生することはまずないだろうから、昔の誰かがその場所に植え付けたものだろう。
その黒竹は、例えば、床の間の軸を掛けかえる竿になっていたり、洗面のあとの手拭き掛けになっていたり、寺の庫裏の各所で何かしらに使われて重宝している。今と比べるとあの頃の黒竹は何年も大事に育てられて古竹になっていたのだろう黒々と太くて立派だ。
この2年間は冬に雪が殆ど降らなかったから、そのおかげで昨年の若竹にダメージがなかった。良い機会だから、このまま大事に養生して使用に絶えられるまでの立派な黒竹に育てようかと思っている。

天狗巣病にやられていた駐車場脇の桜が生き返って、今年はもうすぐ花が咲きそうなところまで蕾が膨らんでいた。幹の根元だけ残してバッサリと切り倒したのだが、その根株から脇芽が伸びて見上げるほど大きくなった。
少年の私に天狗巣病とか気根のことを教えてくれたのは長い間林業で働いて50歳で定年退職したあと、お寺の作務に信心してもらっていたおじさんだった。天狗巣病は大胆に幹からバッサリとヤルのが良いのだそうだ。それに桜とか百日紅のような比較的寿命の短い木は気根を伸ばすことがよくあるそうだ。境内の百日紅はそれで再生した。

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2020-03