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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

鉄の匂い 

2020/03/13
Fri. 23:09

五月雨に続いていた仏事が少し落ち着いて、春彼岸までまだ間があるので、鉄の工場へ集中することにした。

数年前から温めていた彫刻をかたちにするのも良いと考えているところなのだが、実は、前回の個展から引き継いだテーマでもう少し彫刻の連作を残しておこうと、約10点ばかりほどパーツまで切り出しておいたものが残っていて、まずはソレを彫刻に置き換えて吐き出してしまわないと工場の片隅でいつまでたっても鉄板のままでホコリを被ってしまうことになるから、お彼岸までの一週間は溶接と組み立てに専念することにした。
延々と同じ工程を繰り返しながら続けていればそのうちかたちになって、要所要所を少し集中して丁寧に仕上げていけば、やがて小品の連作が出来上がる。そういう、ある意味惰性に近いような制作を続けることに手慣れていくと、彫刻制作の工夫が自分の身体の動きに染み込んで、段取りに無駄がなくなってくる。
あまり頭で考えすぎないようにしておかないと、一つ一つの工夫につまづいて、いつまでたっても完成が見えないままになってしまうから、このたびのような短期間での制作は効率重視を優先しておくと完成度が下がらないで良い。これは、あくまで自分に限ったことだから一般にこういう考えが通用するかどうか責任持てないことだけど・・・

夕方まで工場にいて銀くんに乗ると、ファンの風に乗ってつなぎの作業着からほのかに血なまぐさい鉄サビの匂いが漂ってくる。換気の悪い埃っぽい工場にこもってだいたい1日中溶接と研磨を繰り返して、ディスクグラインダの砥石を3枚位使い潰しているから仕方のないことだけど、こういう、特に鉄の匂いが体に染み付くような仕事が続くと自宅までのたった5分の移動時間が臭くて絶えられない。最近は少しずつ陽が長くなって雨も降らなければ、車の外でパンツ一つになって用意しておいたジャージへ着替えたりするようにしているが、それでもやはり鉄の匂いが鼻について気になる。

帰るとすぐにシャワーを浴びてさっぱりしてやっと落ち着いた頃を見計らったように近所の知人が吉田家へ来た。
「もう、ご存知かもしれませんが・・・こんど4月から石見銀山町内の端から端までを使ってウォーキングミュージアムのようなイベントを企画しまして・・・そこで、吉田さんにも彫刻で参加してもらえないかと云うことになって・・・・」などと始まった。立ち話も何だから、ちょうど夕食時だし「よかったら上がらない?」と誘ってみると「それじゃぁ、チョット・・・」と、レジュメを取り出して打ち合わせが始まった。
その後、結局ワイフの手料理をつまみに彼も一緒にいつもの麦とホップをシュポッと開けて一杯が始まった。打ち合わせになったのかどうかよくわからないままダラダラと夕食が過ぎて「それじゃぁ、よろしくおねがいします!正式な販促はもう少し煮詰まったところでまたお持ちしますので・・・・」と言いおいて帰っていった。
この企画は、学生時代の同級生で今はデザイン事務所を持っている卓ちゃんが吉田を指名してきたようだ。
そろそろ、身の回りのシガラミを少しずつ整理して身軽になろうと思い始めていたところだったのに、まだもうしばらくは厄介なことが続きそうな様子だ。

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2020-03