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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

美味しいお布施 

2020/05/08
Fri. 23:36

街道沿いの様々な萌黄色に染まった山並みの所々で遅咲きの桜が満開になっている。
桜の淡いピンクとヤマツツジの濃いピンクが一面エメラルドグリーンやライトグリーンをした山並みをバックにして引き込まれるようにキレイに映えて見惚れる。
連休中は不要不急の外出自粛で銀山街道もすれ違う車もまばらでのんびりとしたドライブを楽しむことができた。
平日に戻った日は七日努めの日だったから朝少し早めに石見銀山の自宅を出発した。
島根県は外出の自粛要請が月末まで延長されたが、農家の田植えを始めとして在宅勤務が難しい仕事もそれなりにあるようで、朝の通勤時間帯で行き交う車が一気に増えた。いつもなら、特に気になる量でもないが、いつの間にか連休中の閑散とした世間に慣れてしまっていたようで、曲がりくねった狭い道をすれ違う緊張が倍増した感じだ。

七日努めのお宅は、最近ではとても珍しくなった三世代家族が同居されている。
そのおじいちゃんが4月の終わりに亡くなった。
おじいちゃんのお父さんは若くして亡くなっていたし、まだ戦争中でもあったから自分より年下の兄弟姉妹を親代わりになって育てたと聞いた。
本人はとにかく無口で物静かな方だったから、お寺にお参りの時や棚経でお邪魔した時もこちらから話題のネタを用意しないと自分から口を開くことはまず無かった。
七日努めも早いものでもう三・七日が来た。
初七日の時はおばあちゃんと亡くなったおじいちゃんの親戚親族の他に同居の息子夫婦やお孫さんも在宅でにぎやかだった。
二・七日からはおばあちゃんが一人になって寂しくなったが、お経が終わるとお茶口代わりの煮物になったいろいろな旬の山菜が並べられてティータイムが始まる。
おばあちゃんの方はとても話し好きで、昔のことやおじいちゃんのこと、庭木の剪定や畑に田んぼのこと、息子さんや嫁さんのこと、それに、親戚付き合いのことまで絶え間なく話題が尽きない。
今はコロナウイルスの関係で学校が休みになっている。息子さん夫婦は連休中は田んぼの田植えが忙しいし、平日になるとそれぞれ仕事があるしで忙しくしていらっしゃるが、おばあちゃんのおかげでお孫さんの在宅に心配がない。そのお孫さんはおかあさんといっしょに山へ入って筍とかわらびなどの山菜や旬のものをたくさん採ってきてくれるそうだ。
収穫されたものはおばあちゃんが農家ならではの昔ながらの方法でアク抜きなどをして煮物にするのだそうで、そのお惣菜をこうしてお茶口代わりに私が美味しくいただいていると云うわけ。
おばあちゃんの家庭料理は先代住職の憲正さんも大好きだった。まだ副住職の頃から法事の時に先代住職と二人でおばあちゃんの手料理を「美味しい美味しい」とよく食べていた。帰りには引き物とは別に持ち帰りの折り詰めにしてもらった。お茶飲み話でそんな昔のことが話題になったからだろう、「チョット待っとってくださいや。今ちょうど筍の茹でたのがありますけぇ〜」と持たせてくれた。
「柔らかく茹でてあって美味しそうよ!なかなかこうはならないのよね・・」ワイフが喜んでいた。きっと美味しい煮物に仕上がるだろう。
お金には変えられない美味しいお布施を頂いた。

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2020-05