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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

日曜日の工場 

2014/01/27
Mon. 09:04

何時ものように相変わらず土曜とか日曜というと色々な行事がはいって、平日より忙しかったりします。
といっても、フリーターオヤジのことだけかもしれませんが・・・
これで、ボーズの用事(たとえば法事とか・・)が入ったりすると、完全に用事と坊主がバッティングして、収拾のつかないことになってしまいます。

高校生2年生のキーポンは中学校から吹奏楽の部員です。
毎年この時期に、地域の中学校や高校の吹奏楽部が集まって、ウインターフェスティバルが開催されます。
各学校の吹奏楽部から3年生が引退して、1・2年生だけの新生吹奏楽メンバーになってから後の、最初の合同発表会になります。
この発表会から1年の吹奏楽活動が始まるといってもいいほどの、大切な演奏会であると云っても良いでしょう。
だから、私も仕事の合間をつくって会場まで結界君を往復させたところです。

今年の演奏は、2校分しか聴くことが出来ませんでしたが、冬休みを挟んだ日の短い時期に、1〜2ヶ月の練習でよくあれだけ立派な演奏が出来るものだと感心しながら聴かせてもらいました。
遠目ながらも、キーポンの指先が忙しく動いているところも観ることが出来たし、なかなか良い演奏会だったと思います。

このところ工場通いが続いていて、身体が鉄仕事になじみはじめたところに、こうしていろいろ用事が重なると、どうも集中して鉄に向かうことが難しくなってしまいます。
それでも、何か身体を動かして道具を使ったりし続けていると、しだいにかたちが締まって格好がついてきて、確実に少しずつ完成に近づいています。

溶接の1工程を終わらせてグラインダーを使っていると、左の方の丁度工場の出入り口を何かの影がサッとかすめた感じがして振り向くと何の変化も無いので気のせいかと思ってそのままグラインダーを使っていたらまた何かの動きを感じて、やはり同じように振り向くと痩せた小さなおじさん(といってもおじいさんに近いけど)が立っています。
いそいでグラインダーのスイッチを切って、仕事の手を休めて、そのおじさんに向き合うと、鉄の板の溶接がどうとか唐突に聞いてくるので、どうもその質問らしき内容がすぐには理解出来なくてどういうことが問い返すと、また同じように訥々と同じ内容の質問らしきことを繰り返されて、お互い視線を絡めながらしばらく沈黙が続きます。
「てつのいたがあつうなったときゃぁどうねじれるのんだかね・・・」
「むむ・・・」
「にとんのにだいにしいとるきのいたがやれんようんなったけぇじゅんてんどーでてっぱんながめてかんがえよるんよ」
「はぁ・・・」
そんな、会話にならないやりとりがしばらく続いて、少しずつ内容がつかめてきました。
ようするに、2tトラックの荷台を鉄板で補強したいらしい。
それには、鉄の板を溶接しないといけないが、その溶接は出来るのか?
と云う質問だったのです。

その痩せた小さなおじさんは、今では珍しくなった牛飼いのお百姓さんです。
工場の近所にある牛小屋で牛を飼っています。
結界君といっしょにウロウロしていると、時々遠くで牛を見ることもあるし、そのおじさんを見ることもありましたが、このたびはじめて牛小屋と牛と2tとおじさんが重なってくっつきました。
鉄板常識をもとにして、幾つかの提案をしたり質問に答えたりして、納得してもらったようです。
それから、しばらく世間話がはじまりました。
やはりお百姓さんは偉いなと思いました。
人は見かけでは判断出来ないとつくづく思いました。
10年ものの中古トラックを手に入れて、10年修理しながら使って、これから10年使うと自分は80を過ぎるし、今の状態を維持するのにどれだけ投資できるか、それを確かめることで自分のこれからの百姓暮らしを判断しようとしていらっしゃるようです。
「今、ここで何万も金使うて、あと10年も今の仕事続けるちゅう時に、元が取れるかどうかちゅうことも考えとかにゃぁいけんけぇねぇ」

私が少年の頃は、寺の隣のおじいさんも和牛を飼っていました。
メス牛を大事に育て、子供を産ませて、その子を1年育てて牛市場で売ると、当時のお金で300万以上の値がついていたそうです。
牛と暮らし、1頭の牛を売って家族を養い、子や孫の世話までして1年間暮らすことが出来ていたことになります。
毎日を牛のために働いていたようなおじいさんでした。
今では、市場が世界の流通でメチャクチャにもまれてあらされて、和牛1頭せいぜい20万程度だと云う話しも聞いた覚えがあります。

「下から上を見る者は3年かかって理解出来るかどうかだが、上から下を見る者は3日でそれを理解する」
頭は良いに超したことはないですが、それをどう使うかが問題ですね。
最近の上に立つ方々は、才に溺れていらっしゃることを自覚していらっしゃらないような気がするのですが・・・

工場で仕事をしていると、時々地の賢者に遭遇します。

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