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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

グラインダー 

2014/02/11
Tue. 08:12

工場で仕事をしていたら、久々にパラパラの引き締まった雪が降ってきはじめました。
さすがに2月です。
冬の雪は、やはりこうでなくてはいけません。
この様子だと、工場からひとつ山越えした「石見銀山はもっと降っているぞ!」と期待しつつ2月第2弾彫刻の展示台を運んでみると、町並みの路面は乾いたまま。
期待がハズレて少しガッカリしつつ、搬入作業を進めました。

最近は、比較的小さい彫刻を中心に制作しているので、狭い工場の配置もそのような仕事がしやすいように工具を移動して工夫しているところです。
面白いもので、大きな彫刻を造る時は、使う工具も比較的シンプルで、たとえば、グラインダー1機と溶接溶断器と、それに金槌と金床があればだいたいそれだけで制作を続けられてしまうのですが、小さい彫刻になるとなかなかそういうわけにはいかなくて、帯ノコやジグソーやバイブレーションサンダーやベルトサンダーやボール盤や、それにグラインダーまで3種類の砥石を使い分けたりと、使用工具がやたらと増えてしまいます。
それらのほとんどが消耗品なので、制作中の工具に修理不能の故障などが出てしまうと、途端に仕事のペースが乱れます。
今回の制作中も、グラインダー2機のうち1機がダメになって、ずいぶん昔に調子が悪くなって、捨てるのも勿体ないとしまい込んだままになっていた折り紙付きの中古を引っ張りだして、カーボンを交換などして(ここで既にペースが乱れている)ダマシダマシ使っていたら、しばらくしてそれも完全にダウン。
結局、元気なボッシュ1機で砥石をつけかえながら仕事を続けるしか選択肢が無いことになってしまいました。

今使わせてもらっている工場は、指折り数えて6カ所目。
工場の一つ一つに色々な思い出がありますが、やはり最後の目標は「自分の工房がほしいなぁ・・」
私の場合、使用の恩は彫刻で返すしかないので、「そんなわけもわからん彫刻なんていらねぇ〜よ」といわれたらおしまいです。
世間からは「なかなか変わった趣味をお持ちですなぁ・・」程度にしか思われていないわけですから、そのあたりにマイナー彫刻家の現実と悲哀があるわけです。
なんのこともない、彫刻家の芥子粒以下のプライドでこのような現実と直面するたびに人の心の弱さを痛感します。

今は亡きステンレス加工会社の社長さんがご健在だった時は、私の仕事に何かと親身になって協力助言をしていただいていました。
大げさでもなんでもなくて、今の吉田が彫刻を造り続けていられるのも、その社長さんの御陰だと思っています。
「グラインダーなんて消耗品だからそこら辺のホームセンターにある一番安いので十分なんです」と言ってらっしゃったことを思い出します。
あの頃の私は、工場で廃棄された砥石までもらって帰って使っていたのですが、ちびた砥石を付け替えもしないで作業を続ける職人さんへ、仕事の効率を重視する社長さん曰く「いくら早く付け替えろと言っても従業員は自分の云うことを聞いてくれん」と嘆いていらっしゃいました。
一方、溶接にはCO2とアルゴンの混合を奨励していて、「製品の完成度は溶接で決まるから、酸化膜の残るようなガスを使っちゃダメなんです」と教えてもらったりしたものです。
当時はそんなもんかと、結構高い混合ガスをしばらく使っていましたが、やはり背に腹は代えられないし、今では完全にCO2ばかり・・・
完治しない病気がわかってからは、社長業のかたわら、陶芸に親しみ、サークルをつくり、ロクロをひき、釉薬を開発し、身体が疲れると書を楽しみ、体力が続かなくなってからは般若心経の書写を続けていらっしゃいました。
その社長さんとの出会いがなかったら、いまだにアセチレンガスとアーク溶接機でモタモタと不格好な彫刻を造っていたと思います。

さて、グラインダーを1機ばかり新調するか、思案中です。
社長さんが生きていたら「そんな買うか買わないかで考えていることがダメなんです。必要なものは必要なんです!」と云われるでしょうね、きっと。
このまま元気でいられたら、あと10年は制作を続けているだろうし・・・
やっぱり、誰がどう考えても作業効率が悪いですものね。

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