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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

卒業制作展 

2014/02/24
Mon. 08:52

松江の美術館で開催中の大学の卒業制作展に行ってきました。
昨年の現代彫刻小品展のワークショップ等で色々お手伝いしてもらった学生さんの卒業制作を観させてもらうためです。
美術館の一般ギャラリーをタップリ使って、とてもゆったりとした展覧会になっていました。
卒業論文も一緒に展示公開されていました。
最近の学生さんは、卒業までにとてもたくさんの勉強をしているのだなぁと、あらためて感じました。

井上さんの作品は、おおまかにいうと、木の板でほぼ円柱上に囲った空間の天井から、木をやわらかい感じで削ってつくり出した様々な不定形の物体がビッシリと埋め尽くされた状態で垂れ下がっているという、空間造形になっていました。
ほぼ円柱形の空間の中へ入ると、木の香に包まれて、なんとなく彼女の持つ心根の優しさのようなものが伝わってきました。
建築建造物を思わせる全体の形状は、構造の正確さが完成度に大きく影響するような気もして、比較的シンプルなかたちに制作の苦労がうかがわれます。
限られた時間や、限られた制作環境や、様々な外的制約や、それに指導教官の厳しい(??)助言など、いろいろな難問や障害をクリアーして完成された労作だと思います。
ご苦労様でした。
吉田の感想としては・・・
卒業制作が美術館で展示される事が制作発表の条件の一つとして既にわかっている事だと思うので、その空間で最適に機能する緊張感のあるスケールを工夫しても良かったかなと思いました。
制作場所や、搬入搬出などの、展示期間中だけではない様々な制約の中で制作することになりますから、なかなか難しいことだとは思いますが、空間造形表現の場合は空間そのもの環境にポイントというか、ツボというか、そのあたりの見せ場があったりもするので、スケールの条件設定が比較的重要であると思っています。
もっとも、そんなことは、一度や二度の片手にも満たないほどの発表経験ではわからないというか、気がつかないことでしょうから、まずは色々試して場数を踏む事が大事だと思います。

田野さんの作品は、会場の入り口にドンと設置されていて、なかなか迫力がありました。
ワイフは「スプーン」といっていましたが、たぶんイメージというか発想の元というか、なにか具体的なモチーフが造形の核になっているのだろうなと感じました。
本体と、それを支える構造の二つの形態要素が緊張感を持った関連として構成されるところがこのような彫刻の面白さであると思います。
違った素材の木組みには、表面には見えないところで工法上の苦労がたくさんあった事だろうと感心します。
素材が木彫であると云う事も、制作上の構造の決定に制約や影響があるなぁと感じたところです。
おつかれさんでした。
吉田の感想としては・・・
たとえば、支持体の素材を代えたりして、本体の形態をより強く印象深く浮き上がらせる事が出来ていたら、もっと制作者の制作意図がダイレクトに伝わったのではないかと思います。
もっとも、こういう見方はあむまでも吉田の個人的な趣味の問題なので、制作者の意図とは別のところで感じた事であるわけですが、見方を変えると、鑑賞者にとっては作家の表現意図ととんでもなく食い違ってすれ違って接点も何にもないところで主観的な感想を持ったりする事も多々あるわけで、こうして、制作発表をする事の重要性は、そのような相対的な反応を確認するという意味においてとても大切なことだと思っています。

一人の表現者として、自分の造形に託した熱い思いを、一方でクールな客観性を持って伝達する事は、造形の強さや魅力の普遍性に繋がることになり、それを確かめ続ける手段として展覧会などの発表の場が重要であると思っています。
かざらない自分を常にダイレクトに伝える事は難しいことでもありますが、それを継続する事は、いずれ自分の実績にもなって信用を掴む事に繋がるはずです。
とにかく、お二人ともひとまずは卒業という節目をクリアーされた事でしょうが、これが同時に次に進む節目にもなっているはずです。
いつまでも、ものの大小にこだわる事なく、このような表現活動を継続していただきたいと思います。

というわけで、現代彫刻小品展の出品も、前向きにご検討をお願いしまぁ〜す!
・・・というあたりで〜落ち〜とさせていただきます・・・

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