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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

田中さんの彫刻 

2014/08/02
Sat. 09:17

石見銀山の吉田家から先日終わった浜田こども美術館の現代彫刻小品展へ移動するのは、日本海に沿って東西に延びる国道9号線を使うルートが一般的で、最近はそれに自動車専用の山陰道が少しずつ完成していて、その区間のチョイスに若干迷うが結局そのまま惰性で9号線を走ることが多い。
万善寺から浜田へのルートも幾つかあるが、私はノーマルな江の川沿いを日本海まで延びる街道を走ることにしている。

いずれにしても、浜田までの道中の通過点になる江津市に根付け彫刻の作家が在住する。
根付けというと、江戸時代を中心にして大流行した実用を兼ねた手乗り彫刻で、当時は象牙などの高価な輸入材料を使ったりして精巧な造り物に仕上がっている。
今では根付け専門の彫刻家が日本各所に点在していて、少数ながら世界にも彫刻家が広がっている。
江戸の頃は島根県の江津市を中心に私が暮す大田市あたりに根付け彫刻の産地があった。
その筋で有名な彫刻師を多数輩出し、「石見根付け(いわみねつけ)」ブランドの嗜好品として広く知れ渡っていた。
その後明治維新を境に、欧米の文化が日本の日常の暮らしに入って根付けの利用価値がなくなって、制作も減って作家も減った。
一方、根付けの方は骨董品とか日本文化嗜好で外国の好事家を中心に珍重収集され、その価値も日本より世界の方で高まっている。

江津に暮す田中さんは、みずから独学で根付け彫刻を勉強し、ほとんど退化していた地元の根付け彫刻を復活させたほどの人で、私にとっては島根の彫刻振興に欠かせない人だと思っている。
現代彫刻小品展をはじめたときから、何とかしてその田中さんに彫刻を出品してもらえないかと各所に相談したり問い合わせたりもしたがなかなか良縁がないまま数年過ぎた。
辛抱のかいあって、一昨年に直接お話しする機会を得て、昨年から彫刻を出品してもらえるまでになった。
今年は出品をいただいた上に、福光石の彫刻へ挑戦もしていただいた。
2日間で二体のカッパを制作された。
石彫は初体験だということだったが、なかなかの出来栄えになっていた。

だいたい彫刻家に限らず、美術家を自負する人は気難しいことが多くてプライドの高い人が多いから、よっぽどのことがないと仲良くお付き合いをすることが難しい。
特に私などのように鉄を使ってわけのわからない抽象彫刻(自分ではちゃんと筋道通ってますよ!)を造ったりしていると、なんとなく見て見ぬふりのスルーされることがほとんどだったりするから、こうして田中さんに彫刻展とお付き合いしてもらえることが何よりもありがたい。
テーマのことや技法造形のこと、時代性の斬新さなど、気にすればキリがないこともあるが、島根の片田舎の彫刻展はそんなことは些細でどうでも良いことで、まずは現代に息づく彫刻と彫刻家の活気を感じてもらうだけで十分だと思っている。

石見銀山で次回開催の展覧会で5年目が終わる。
さて、6年目があるかどうかわからないが、彫刻の発表や展覧会もどんどん複雑になっている昨今、制作者も鑑賞者もみんな一緒になってもっとシンプルに彫刻の面白さと付き合えないものかと思って始めた彫刻展だから、こうして田中さんとお付き合いもできるようになったし、吉田としては当初の構想の実現が見えてきはじめたようにも思っている。

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