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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

雨やどり 

2014/11/15
Sat. 05:30

このところ七日務めが続いていて一週間がアッという間に回ってくる。
いつものように般若心経や修証義などをおつとめして、このたびは発願利生から布施・愛語・利行・同事のところを少しお話をさせてもらった。
喪主さんは、老僧の代から比較的親しくしてもらっていて、そのせいかどうも日常の付き合いの延長のような感じで緊張感というか信心というかそういうものが軽く滑ってしまうところがある。
それでも、一週間ごとにお話をさせてもらっていると、最近では少しずつ落ち着いて話を聞いてもらえるようになってきた。
坊主がなれなれしく世間付き合いしすぎるのも考えものだと、こういう時に思ってしまう。

改良衣のままホームセンターへよって寺の日常品を買い込んだ。
若い頃からほぼ半世紀以上家計を老僧へ任せっきりだったおかみさんが、最近になって家計の世話をするようになってきた。
代替わりの前後から老僧の事務能力が低下しはじめて、公私共に色々不具合が出始めてからやっとおかみさんが本気になりはじめた。
もともとが趣味もなく真面目に厳しく家事を切り盛りしているような性格の人だから、老僧の老化を素直に受け入れることができなくて毎日イライラしながら過ごしている。
微々たる年金で日常の暮らしを維持してもらわないといけないから、デイサービスの贅沢も本気に進めるわけにいかない。
訪問介護や通院に薬代と何かと出費が増えて、結局は吉田家の家計を圧迫している。
年寄りが長生きするのもなかなか厳しいものがある。

庫裏から本堂をひと回りして、灯油の世話やストーブの試運転や線香ロウソクの補充や・・・シッカリしているようでもどこかしら抜け落ちている老僧夫婦の日常の不具合を色々と点検してしばらくおかみさんの独り言に付き合う。
そのうち延々と同じ話がリピートされはじめるから、用事のあるフリをしてそろそろと動き始めてその場を取り繕う。
ロフトの書斎件寝室にある埃をかぶった本棚から昔の小説を引き出してしゃべり続けるおかみさん相手に暇つぶしをした。

崩れかけた本棚には、もうかれこれ40年近く前に読んだ本が並んでいる。
あのころは贅沢にもハードカバーの単行本を集めたりしていたことを思い出した。
積年の埃と日焼けで見る影もなく痛んでいるが、大洋堂書店と印刷されたブックカバーが懐かしかった。
まだノッチが町田の方で暮していた時に小田急線で大洋堂のあった梅ヶ丘を何回か通過した。
今ではそのあたりも高架橋になって梅ヶ丘公園もホームの壁に隠れて見えない。
駅前開発で大洋堂はどうなったのだろうか・・・
梅ヶ丘から代田方面へ10分ほど歩いたところのアパートに住んでいた。
国士舘が近くにあって学生がウロウロしていた。
荒木一郎が近くに住んでいて、時々流しの屋台ラーメンで一緒になった。
だいたいがロレツがまわらないくらいに酔っぱらっていたが、キレイなオネエサンと一緒だったりする時は無口にカッコよかったりして、屋台に寄ることもなかった。

懐かしい本の中から1冊抜き出して自宅へ持ち帰った。
もう夕方になっていたから、風呂掃除をしてお湯を溜めてからその本を持ち込んだ。
半身浴をしながら短編を一つ読んだ。
その本の話の舞台が新宿要町あたりで、当時入り浸っていた飲み屋のことを思い出した。

IMG_3548.jpg

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