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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

最後の見頃 

2015/04/07
Tue. 15:13

老僧が退院できたということは目出度いことなのだろう。

この3週間の入院中に、ひとまず肉体的には歳相応の元気を取り戻すことが出来た。
一方、無趣味で目的もなく1日中ベットで寝て三度の病人食を食べているだけの本人は、何処かしら精神の異常が出てきはじめて職員の皆さんへ何度となく迷惑をかけてしまったようだ。環境の変化による老人性の精神障害が予測されると説明を受けてはいたが、四六時中老僧に張り付いている訳にもいかないから仕方のないことだと思っている。

銀山街道の桜並木はこの近年さくらてんぐ巣病が広がっている。
そのままにしておくと、どんどん感染して蔓延してしまうから始末が悪い。3〜4年かけて病根を除去して根絶させるしか方法がないそうだ。
万善寺の桜も次々に感染してしまったから、花が終わったところで幹の低いところから伐採していて、あとは若木の残り2~3本だけになってしまった。
桜の寿命は普通だとせいぜい80年程度で、100年200年と生きられるのはずいぶん希なことだと聞いた。
それこそ今のようなひどい大気汚染などなかっただろう100年前の環境なら、桜の古木もてんぐ巣菌がはびこるほど弱体にならないですんでいたのかもしれない。
老僧の老衰は肉体の正常な部分が残りわずかになってきた。
桜のようにノコひとつで病根を除去しつづける訳にもいかないから人間の難しいところだ。

退院の朝は久々に冷え込んだ。
病室を片づけて、寺へ帰る前にいつもの床屋でサッパリとしてもらって、檀家総代さんへ報告をして、昼前に庫裏の玄関をまたいだ。
奥の台所からお昼の仕度の焦げた煮物の匂いが漂ってきた。
おかみさんの生きる力は、老僧の介護にある。
一緒にいると目や耳についてついつい手を貸してしまうから、早々と退散した。
春の嵐に耐え残った桜の花が久々の薄日に最後の見頃を迎えている。

IMG_4920.jpg

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