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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

寺の朝 

2015/05/26
Tue. 21:06

普通、寺の夜は静かだろうと思うかも知れないが、全く違う。
石見銀山の自宅に寝起きする時は、朝方になると猫のクロがやたらうるさく鳴きながら家中をウロウロするから、それで目が覚める。
寺暮らしではクロの鳴声で目覚めることはないが、一晩中田んぼのカエルが鳴き続けてうるさい。
そのうえ、夜が白みはじめると同時に野鳥がいっせいに鳴きはじめる。最近うるさいのはツバメとスズメ。それにセキレイが加わるようになってきた。
完全に夜が明けると鴬が鳴きはじめる。春先の鳴声はなんとなく趣を感じるが、もう夏間近だったりすると、どうも場違いな感じで余計に耳について離れない。

ようするに、寺は夜も朝もやたらとうるさい。
それに輪をかけてうるさいのがおかみさんの独り言・・・といっても、私がロフトで寝ていることがわかっていて、当然のようにその私へ聞かせるために大きな声で身勝手にブツブツエンドレスの独り言を続ける・・・と、またまたそれに輪をかけて田舎の朝はやたら早くて、今朝など7時になる前から2回ほど電話が鳴った。
一つはお大師さんの法要の確認。一つは老僧の病状の確認。まぁ、けっしてどうでも良いような電話でもないし、どちらかといえば電話の主にとっては大事なことでもあるから仕方のないことだが、それにしても7時前の電話は高血圧の慢性成人病にはあまりよろしいとも言えない。朝寝をむさぼることもできないまま、本堂へお参りしたり、庭掃きをはじめたりして今日の1日がはじまった。

寺の近所ではムササビが暮していて、雨が降ったりして天気が悪くなると庫裏の屋根裏へ避難してくる。彼等も人恋しいのか、だいたいがおかみさんの頭上だったり、私のロフト暮らしの頭上だったり、人間の寝ているすぐ上の屋根裏でくつろぎはじめる。
それに、つがいのカラスも寺の裏山を住処にしているようだ。
早朝は、他の鳥達に混じって庫裏の軒先と蔵の屋根を行ったり来たりしながら朝食になる田んぼのカエルを狙っている。あれだけうるさく一晩中鳴いていたカエル達が、カラスの影を見ると急に静かになる。それでも、ドジなカエルが何匹かいけにえになってカラスの腹に納まってしまう。

庭掃きをしながら彼等の一連の朝の様子を目の端で追いかけてしまうのも、最近は習慣になりつつある。
寺には、井戸水と間歩水が垂れ流されている手洗いの水槽がある。1日に数回はカラスがその水槽の縁にやってきて水を飲んでいる。いつのまにか、彼等の水飲み場になっているようで、私がすぐ近くでセッセと庭を掃いていても全く気にする様子がない。
先日は、その水槽のすぐ隣で草刈り機に混合油を注ぎ足していたら、水飲み中のカラスと目が合った。その後畑の畔を刈っていたら、軒先の屋根で見物中のカラスとまた目が合った。つがいでギャーギャーうるさくしているのに、そのうちの一羽だけが私と目が合う。いつの頃からか、私の寺暮らしを監視しているようだ。別に悪いこともしていないし、厳しく過激に追い立てるようなこともしないから、彼もしくは彼女は、私を安全な生物だと認識しはじめているのかも知れない。特に特別仲良くしようとも思わないが、どうもお互いの距離が近くなりつつあるようで不思議な感じだ。

ネコチャンズのいない寺暮らしの寂しさが、カラスのおかげで少しだけ和らいでいる気がしないでもない。
さすがに、カラスをワイフの代わりに見立てる訳にもいかないから、そこまでの親近感はない!・・・はずだと思うけど・・・やっぱり、ワイフとカラスを同率に意識することはできないよね。

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