工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

嵐の前の静かな1日 

2015/07/16
Thu. 23:51

本日、7月16日は憲正さんの初月忌になる。
この1カ月は早く過ぎたのかゆっくりだったのか・・・どうも判断が難しい。
毎日の出来事が、自分にとってはじめて尽くしであった。
それほど長くもない人生で、今まで経験することのなかった数々の出来事が止めどなく連続して過ぎていった。もちろん、90年生きるおかみさんにとっても、ことごとくはじめての体験になるわけだから、「あの時はあぁ〜した」とか、「こういう時はどぉ〜だった」とか、そんな思い出話などある訳もなく、全ては未経験の連続であったはずで、そうとうに不安な毎日が続いていたことだろう。

俗に世間でいうところの、「お寂しい毎日だったでしょう・・」とか、「まことにこの度はご愁傷さまで・・」などという感覚は、まったくもって無かった。
それほど、自分にとっての憲正さんとの付き合いは思い残すこともないほど、悔いのないサッパリとした付き合いのまま自然に時が過ぎ今生の別れに至ったと思っている。
ところが、おかみさんにとってはどうもそうでもないらしく、何かと思い残すことがあるような気配を感じて、毎日の色々な行動に何となくその埋め合わせに思えるほどの寒々しさが見え隠れして、そういう姿を近くで見続けなければいけないことに腹立たしいイライラが溜まる一方になってしまった。

そして、1カ月が過ぎ、没後はじめての月命日がやってきたわけだ。期せずしてその命日に、本葬に向けてお手伝いをいただく方丈さん方が万善寺へ集まって荘厳などの準備作業を行っていただいた。私は、まだ憲正さんが存命のころから決まっていたワークショップのスケジュールを粛々とこなした。世間では、今年最大の台風が西日本を横切るという避けることの出来ない自然の猛威に遭遇し、数々の予定されていた行事を変更することになった。ワークショップ会場の石見銀山にある大森小学校では、台風の被害をさけて終業式当日の休校がすでに決まっていた。その慌ただしい土壇場ギリギリのところで、先生方の心痛を余所に19人の児童達がワイワイにぎやかに楽しい1日を過ごした訳だ。

最近の教育機関では、用心の上にも用心を重ね、慎重のうえに慎重を重ねて協議決定する風潮にあるが、このたびの大森小学校校長の英断は揺るぎないものであった。私の進退を心配しての気持ちも多少あったとは思うが、それでも子供たちに対する教育的配慮を最優先してワークショップ実施を決断されたことであることは疑う余地もない。後になって「あの時は、やはりあぁ〜しておけばよかった」などと、反省することはいくらでも出来る。しかし、それを、如何に前向きに反省するかが日々の実践経験に裏付けされた判断力の強さだとも思う。私のような、ゆるくぬるいなまくらでない、立派な決断であったと感謝している。
憲正さんの本葬準備も自分の生涯で1度きりの重要な機会であるが、吉田正純は地球に一人しかいないし、二箇所で同時に生きることは出来ない。ことの成り行きの重要度を優先して、大森小学校ワークショップを選択したこの判断は、さて、吉とでたか凶とでたか・・・それぞれ立場の違う世間で正しい答えは出せるものでもない。
なかなか、忘れ難い嵐の前の一日であった。

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