工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

夕日に向かって走った 

2015/09/13
Sun. 21:53

ストウさんから電話があったので、石見銀山の自宅を早朝に出発して、七日務めをして、寺で用事を済ませて、一人暮らしになったおばあさんのエンドレスな話を聞きながらお昼ご飯を食べてからそちらへ向かった。
彼の教え子の女の子が真っ赤なつなぎを着てカッコイイ溶接面をつけて、アーク溶接をしていた。
彼の用事というのは、彼女の彫刻の状況を見て欲しいということだった。

いろいろどうでも良いような話をして、それから「何時からはじめたの?」って聞いたら「今朝から始めた」ということだった。
もうビックリ!!
ものすごいパワーとスピードだ。
アーク溶接もやっと思うようにできはじめた程度の技量なのに、たった半日の溶接作業でけっこうそれなりの形が出来上がっている。
モタモタとアレコレ悩みながら積み上げてきた私の鉄彫刻が虚しく思えてくる。
やはり、結局はセンスとカンとパワーが大事なんだなぁと、この歳になって改めて実感した。

昼からはワイフと出先で待ち合わせしていたので、可愛い女の子の彫刻を見てからそちらへ向かった。
道すがら、結界君を運転しながら昔々のまだ彫刻を造る前準備の勉強をしていた頃のことを思い出した。
あのピカソはたった1分足らずで描いた絵に100万円くらいの値段をつけたというようなことを聞いたか読んだかした。
「自分の絵の値打ちが時間で決められるのなら、その100万円なんて安いものだよ!」といったかいわなかったか??・・とにかく、「チョコッとサラサラッと描いただけのその絵がなんでそんな高額なんだよ!」と聞かれた時に、「だって、ボクがこの絵を描くまでには、30年と1分かかってるんだ。だから、100万円なんて安いものだと思うよ!」と、答えたとか答えなかったとか・・・
今、この歳になって思い出したピカソの逸話はたしかそんな感じだった。

あの娘がたった2~3時間で溶接した鉄の塊は、まだそれなりの彫刻というまでにはほど遠いのものだったが、それでも何かしらの造形物を形作るスピードは目を見張るものがある。
吉田をピカソ的にいうなら、「ボクの彫刻は、1年間で350日考え続けて制作に2週間かかって完成させたんだ!」といった程度の彫刻なんて、とてもとても材料代にもならない値段を付けようもないケチな代物だということになってしまう。
そんなふうに思ったら、何かおかしくなって斐伊川土手を走りながら思わず笑ってしまった。

久しぶりに、本当に久しぶりに日本海に沈む夕日を見た。
西に向かって必死で沈む夕日を追いかけていたら、石見銀山へ曲がる道を通り過ぎていた。

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