工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

ボクは彫刻家 

2015/09/23
Wed. 21:56

あと6時間もあれば2つめの彫刻が形になるだろうと予定を組んで工場へ向かった。
石見銀山の自宅から結界君でだいたい5分の距離だが、その途中は稲刈りの真最中。
工場周辺は昭和の昔の稲作が残っていて、コンバインの入る田んぼは無い。
稲ハデを組んで、稲刈り機で刈り取った稲の束を手際よく干していく。
あたり一面が刈り取った稲の香りで満ちる。
開け放した運転席の窓からその香りがたっぷりと入り込んでむせかえるようだ。
これから血なまぐさい鉄の匂いを嗅ぐことになるかと思うと一瞬躊躇する。
とにかく、あと6時間あれば彫刻が一つ形になる!・・・そう確信して電源のメインスイッチをONした。

石見銀山の町並みはシルバーウイークの期間中観光客で溢れかえっていた。
観光客は呆れるほど品がない。
平日と休日がしっかり決まって、そのシステムの中で決められたもしくは与えられた自分の仕事に特別疑問を持つこともなく働き続けている連中か、現役をリタイアしてたっぷりと入る年金暮らしを謳歌している連中か、とにかく見渡す限りそういう常識的日本国民的社会人的連中が狭い町並みへ溢れかえっている。
完全に私の僻み根性の生産物的観光客の群れをかき分けて結界君を操作するのも、そろそろ3日目になる。
一方では、連休を目当てにセッセと兼業農家の農作業が続き、一方では第1次産業とは無縁に思える軽装の観光客が石見銀山の町並みをのんびり散策している。
そのどちらでもない私は、セッセと彫刻を造り続けている。
半年以上留守にしていた工場の元を取り戻すようにがむしゃらに制作をし続けている。
電動工具の消耗品のクズがどんどん溜まる。
それが多いということは、制作がはかどっているということ。
予定の6時間は、CO2のガス欠で躓いた。その次に、ちょっとした裁断ミスで躓いた。
それで結局6時間が単なる予定ということで作業はつづく・・・ことになった。
日が暮れてからは、自分の集中力と持続力との緊張感のある付き合いが続いて、何度か気持ちが折れそうになった。膝の故障が身にしみて応える。溶接の熱球がつなぎの喉元から腹まで転がり込む。とにかく、心が折れたらそこで作業を中止しようと決めていた。

溶接があと少しのところで、40kgのアンビルを移動しなければいけなくなった。
まだそのくらいのモノは普通に人力で持ち運ぶ。
腰に負担が掛からないように慎重に持ち上げて作業台へ下ろした・・が、なんと、数ミリの誤差でつなぎのチャックと、ボクの大事な○タマ袋の皮を挟んだ。
痛みと一緒になんとも言いようのない疲労感が一気に脳みそを駆け巡った。
急いで○タマ袋の皮を確認した。
幸い、小さな血豆が2cmの線上で二箇所にできたくらいですんだ。
まだ、もうしばらく男でいられそうだと確認できたので、元気と集中力が戻った。
それから、○タマ袋をかばいつつ彫刻一つ形にして帰宅したら、ワイフのアトリエに明かりがついていて、季節外れのカエルが覗いていた。

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