工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

石川隆さんの石彫 

2015/11/18
Wed. 22:39

今、彫刻家石川隆氏の石彫が島根県大田市富山町山中のバス停脇にある小さな不定形の平地に設置されてある。

私が彼を知って意識しはじめたのはもうずいぶん前のことで、まだ上野にある東京都美術館の野外展示室に彫刻を設置していた頃のことになる。
あまりに古いことだから記憶も定かではないが、確か、私が美術館の野外展示室へ公募展の彫刻を置くようになった時、石川さんはすでにそこへ彫刻を置いていたと思うから、もうかれこれ30年近く延々と野外展示をしていることになる。そういう年季の入った野外彫刻家はそう多くはいないはずだ。

その30年前の彼の彫刻は、私の目では幾何構成を元にした純粋な抽象彫刻のように見えていて、長い間そういうテーマの彫刻を研究しているのだろうと思っていた。
展示が終わったあとの少しの時間に彼と会話をすることがあって、いろいろ制作や形態の話が出てきて、それらを総合すると、意外にも形態の発想の元がかなり具体的なモノであるということがわかった。
要約すると、彼は俗にいう具象抽象の領域で制作をしていたということになる。

もう皆さんもご存知のように、私が彫刻を造りはじめたのは30歳近くなってからのことだった。
普通一般には、学生の時から彫刻家のキャリアを積み重ねてきていることが多いから、私はそういうその筋の常識で言うと、だいたい10年近く遅れて彫刻をスタートさせたことになる。
そういうこともあって、いまだに自分の周辺では自分より若い彫刻家の方が多い。
石川さんもその1人ということになるわけだが、彼は私のようなノリの軽いヘラヘラしたオヤジと違って、無口で思慮深く物静かでとても落ち着きのある人である。

彫刻を出品している公募展が、上野から六本木に移った頃から、石川さんの彫刻の作風が変った。
今回、富山の野外に設置した石彫「信号」もその一連のテーマというかシリーズというか、そういう位置づけで制作されたものだと解釈している。
彼の最近の関心は海の生物にあるようだ。
それも、軟体動物のタコがよくモチーフにされている。
こうして文字に置換えると「だからどうした?」という程度の関心事で済まされるかも知れないが、そこを一歩彫刻的に踏み込んで考えてみると、かなりの造形的表現力がないと軟体動物を彫刻的表現上で緊張感のある立体造形に昇華させることはできないということがわかる。海の中で活き活きと動き回る躍動感あふれる軟体動物のタコを、石を刻んで表現しようなどと思うことそのものが、彼の彫刻造形への挑戦のように感じる。

これから向こう1年、富山町の四季に石川隆氏の石のタコがどう感応していくのか楽しみなことである。

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