工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

雨の大晦日 

2015/12/31
Thu. 23:44

2015年の最終日で大晦日は、ほぼ一日中3畳の万善寺即席寺務所にこもって、年回のくり出しとお札造りに励んだ。
ジッとして椅子に座ってばかりだと足が固まって動かなくなるので、時折思い出したように本堂の荘厳を確認したり、湯茶を注いだりしながら過ごした。
大晦日らしく、申し訳程度に限りなくみぞれに近い雪も降ってくれた。
軒下にピッタリと横付けして駐車していた結界君へまともに雪ズリが落ちてきそうなので、念のために午後から安全な場所まで移動しておいた。

憲正さんのいない大晦日からお正月を迎えるのは、やはりどこかしら今までとは違った気がする・・・って、まぁアタリマエのことだろうけどね。
私は、とにかく年末年始のこの時期やお盆の月など寺の用事で身動きができない時は、完全に仕事と割りきって毎日を過ごしている。
家族みんなが認めるところのニート親父ではあっても、やはりこういう時はそれなりの緊張感を持って毎日を過ごしているつもりだ。

本堂の用事を済ませていたら、松江市在住のお檀家さんが家族で年末の挨拶にお参りしてくれた。
ご主人はずい分前から目が不自由で、それでも自分なりに工夫して自力の暮らしを長い間続けていらっしゃったが、しばらく前から盲導犬の導入を思いつかれて、犬と一緒に数ヶ月の訓練に入られた。
その話を聞いたのが夏のお盆の棚経の頃で、犬も人間もアマチュアで慣れないから、苦労が多いと云うことだった。
時折激しい雨が降る中、境内下の駐車場から盲導犬と参道を上がってこられる姿は、やはりまだまだ危なっかしいところがあって、道をそれて下の田んぼへ犬と一緒に落ちそうでヒヤヒヤした。
本堂前の基礎石を一段上がる時も、その犬はまだまだご主人様の役に立っているとは言いがたいほどの無頓着ぶりで、そんな姿が妙に微笑ましくいじらしく思えてしまった。
暮れの挨拶もそこそこに、雨に濡れた犬としばし戯れた。
名前は「きらら」ちゃん。
2歳の女の子だそうで、実に愛らしい。
ご主人様いわく、やっとこの頃自分に擦り寄って甘えてくれるようになってきたのだとか。
その施主家にはしばらく年回法事も巡ってこないから、こんどきららちゃんに逢えるのは随分先の事になるだろう。
身体の不自由に臆することなく前向きに過ごしていらっしゃるご主人をみると、何かこちらが励まされているような気になってくる。
今にして思えば、晩年の憲正さんはいろいろ不自由な日常を随分我慢して暮らしていたのだろうと心が痛む。それでも、あの犬のように私が代わりになることも出来ないから結局は見て見ぬふりでやり過ごすしかない。
きっと、今の憲正さんはあの頃の不自由な苦痛から全て開放されて随分と楽になったことだろう。

IMG_1633_20160101041510e89.jpg

[edit]

CM: 0
TB: 0

page top

この記事に対するコメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://tetujin29.blog31.fc2.com/tb.php/2197-6c985a08
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

page top

2017-06