工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

保賀の谷 

2016/01/05
Tue. 20:51

あれは昨日のこと・・・
正月早々朝から寺の寺務を続けていて、昼食もなんとなく曖昧なまま終わらせて、食後の散歩に出かけてみると・・・保賀の谷の何処かで焚き火でもしているのかと錯覚するほど視界が煙っぽく悪い。
振り向くとすぐ後ろの琴引山の山並みも白っぽくガスっている。
保賀の谷の中央を分断して走る国道54号から先も白々しくガスっている。
だいたいに、1月早々のこの時期に雪が全く無いということそのものが前代未聞の珍しさだから、世間の気象条件がどうなってしまったのか素人には見当がつかない。それに気温も高くてポカポカ陽気だし、春先の春霞くらいの感じなのかもしれないと思うことにしてサンダル履きのまま寺の参道を下って保賀の谷をひと回りした。
4年ほど前には老犬のシェパ君がいたから雪の中を一緒に散歩していて、それはそれなりに寺暮らしの気晴らしにもなって楽しかった。
どちらかというと、一人の孤独には慣れている方だが、非常に中途半端におかみさんとの二人暮らしだったりすると、何処かしら気ままで自由な孤独になりきれない所もあって、かえってイライラしてストレスが溜まる。
こういう時こそ、心の癒しで犬や猫が近くにいてくれたらどれだけ助かることか・・
少しハイペースで保賀川を渡って農道を歩いていたら、突然カラスが「カァー!」と鳴いた。それに、少し♯がかった「カァー!」が応えた。
あの、保賀の谷で暮すカラスの夫婦だった。目が合っても逃げようとしない。
きっと、寺の参道を降りていた頃から私のことを気にかけていたのだろう。彼等には心の準備が出来ていたわけだ。
なんとなく、勝手に気持ちが和んだ。
「久しぶり!コンニチワ!」
一応、挨拶を返しておいた。

日が暮れて、参道の街灯が夜霧ににじむ頃になって、空には月が、これもにじんでいる。
「きっと、明日は雨でも降るだろうなぁ」と予測した。
夕食が終わって残りの寺務をしようと即席書斎の3畳へ引きあげて、例の如く一日のおさらいでウエブニュースをチェックしていたら、中国の光化学スモッグが九州までやってきたとあった。あの、保賀の谷の視界の悪さは、きっとそのスモッグの一部だったのだろう。
40年ほど前に上京した頃は東京上空にもまだスモッグが残っていた。
それからしばらくして、東京の環境が見る見る改善されて、あのドブ川のような神田川も年々キレイになった。
井の頭公園の池も鯉の泳ぐ様子が見えるようになったし、石神井川にもマガモの夫婦が帰ってきた。
あの頃の保賀川には、ヤマベやハエンゴが群れで泳いでいた。用水路にはメダカもいた。
そして、今の保賀川にはそれらの魚が全て消えた。
田舎の農業はまだまだドップリと農薬に浸かって保賀川の生物が消えた。
そして、そして、こうして空には中国からスモッグがやって来る。
人間の醜いエゴイズムは確実に自然を破壊していると実感した。

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