工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

冬の彫刻 

2016/01/20
Wed. 19:36

なっちゃんが連れてきた寒気団が猛威をふるっている。
それでも、例年のことを思うと雪も少なくて過ごしやすい冬である。

私の造る彫刻は島根の自然の環境と密接に関連している。
これは、彫刻らしきモノを造りはじめた頃から一貫して変っていない。
まだ造形美術の勉強をしていた学生のころ、研究室の若い先生に私が造っていた立体を総称して、「土臭い」と切り捨てられたことがある。
その時は、どちらかというと自分の形を否定されているようであまり良い思いをしなかったが、あとになって考えると、吉田の作風を総括してその根幹というか主軸というか、そのあたりのブレないところをキチンと見抜いてくれていたように思えて、その人の造形観の力量をすごいと感じた。
現在の彼は私などと口をきいてもくれないほど日本を代表する偉い偉い人物になっている。

私が野外設置の彫刻にこだわっているのも、島根の風土を彫刻のかたちで体現しているようなところがある。
それは、自分の少年の頃の原風景が大きく影響しているということだろう。
なかでも、秋のおわりから雪解けの春のはじめの頃まで続く雪の冬の毎日が、特に自分の彫刻と密接に関係してくる。
雪のもつ様々な表情の変化の一つ一つに造形の美しさを感じる。
数限りない様々なかたちの原型に寄り添うように降り積もる雪の表情には、冷たさを感じるというよりむしろ、そのかたちを包み込む優しさやぬくもりを感じる。
一方で、雪の底知れない自然の残酷も内包していて、何ともいえないほどの恐さも感じる。
自分の彫刻のかたちは、冬の雪と対峙する時にはじめてその造形の旨みが感じられるように意識しながら造っている。

待ちに待っていた雪がやっと降ってくれた。
台風並の強烈な風が指先の体温を奪っていく。
G12のグリップがおぼつかない。
シャッターも思うように押せない。
マニュアルの幾つかのつまみが動かせない。
鼻水が風に飛ばされる。
目尻に涙か溜まって焦点がぼける。
彫刻の予測できない場所へ強風で雪が叩きつけられる。
彫刻のかたちに沿ってゆるやかに降り積もるまでの余裕もない。
とにかく、滅多にない悪条件で彫刻の撮影を続けていたが、カメラのレンズを絶え間なく雪が叩きつけるし、やはりどう考えても無理がある。
帰宅して、パソコンへデータ移動してみると、資料にも何にもならないほどのレベル。
結局、仕切り直して次の日の早朝に全て撮直した。
そのすぐあとにまた強風が吹きはじめて雪の形が見事に消えた。
今年は、あと何回くらい撮影の機会が巡ってくるだろう・・・

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