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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

湿気の花 

2016/01/26
Tue. 18:34

窓ガラスに湿気の花が咲くのを観たのは、たぶん高校生以来だと思う。
今でこそ、平均して暖かい冬が多くなって、万善寺もずいぶん過ごしやすくなっているが、私が暮していた中学校時代までは底冷えの激しい寒い冬が毎年のように続いていた。
今回のように、窓ガラスが凍りつくようなことは当たり前の事でそれほど不思議なことでもなく、冬になるとこんなもんなんだなと思っていたような気もする。
今はサッシが若干増えて当時より少しはすきま風も少なくなったが、それでも風雪が何日か続くと、本堂や庫裏のアチコチの隙間から家内へ雪が吹込んで白く積もる。
私が寝ているロフトも、寺務所にしている三畳も一晩のうちにそういう場所が数ヶ所出来ている。
朝の線香をつけて、お葬式の仕度をすることで本堂へ行ったら、雪が吹込んでいた。
昼のうちに畳の上で溶けるほど気温は上がらないから、そのままにして葬儀会場へ出かけた。
国道は、まだ昨夜の雪が残っていて結界君がわだちにタイヤを持っていかれてフラフラとお尻を振る。それでも昼過ぎには、アスファルトの路面が黒く見えて、中央の黄線が分かるまでになっていた。
本堂は朝に出かけたままで香のかおりが充満していて、吹込んだ雪もそのままに残っている。
改良衣のまま早速掃き掃除をした。
憲正さんがまだ若かった頃には、このように雪が吹込んでいると、イソイソと掃除を始めていた。
ようするに、畳の上を雑巾掛けするようなノリで掃き掃除をしているわけだ。
白い雪が見る見ると茶色に汚れる。
その様子を私も覚えていて、今日は自分がそれをしている。
半世紀も経っているのにやっていることはほとんど違わない。
こうして冬に雪を使って本堂の畳の掃除をするようなことは私で最後だろう。

引導の最後に「山光に和心益々清く澄む」と添えさせてもらった。
「光」とは、四季折々に魅せる美しい景色の意味合いを意識してもらうとありがたい。
「和心」は、故人のお名前が和子さんだったこともあって使わせてもらった。その人柄を文字に置換えるとこうなったというところでもあるが、真意は別にあったりもする。
「今は山全体が白に染まってそれが美しい。そういう景色を観ていると、自分の心もそれに調和して清々しく澄み渡ってくる」・・・そんなふうに解釈していただくといいだろう。
ここまでドッサリと大量にいっきに雪が降ったりすると、世間ではとかくネガティブに大騒ぎするきらいがあるが、私は全くそのように思うことがない。自然の驚異を目の前にして、その美しさに感動し、自分の心の矮小を痛感する。
冬に寒いことは当然のこと。隙間から入り込む雪を見るだけで余計に気持ちが寒くなるのも普通のこと。それでも、だからどうこう出来るわけでもないし、たっぷり降り積もった大屋根の下で暖かく温もりのある人の暮しが営まれていれば、そのうち屋根の雪も落ち、水に変って地に吸い込まれる。
そんなポジティブな気持ちで冬とつき合いたいものだと思っている今日この頃であります。

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