工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

田舎事情 

2016/02/12
Fri. 22:24

「がんばれぇ〜〜!!」
ワイフの激励を背中で聞きながら石見銀山の吉田家を出発した。
週末は万善寺暮らし。
辺りはまだまだ一面雪景色。
朝のまだ早いうちに寺へ到着して、それから数回往復して結界君から荷物を3畳へ運び込んで、すぐに慌ただしく改良衣に着替えて七日務めへ出かけた。
幹線道路は雪も消えて乾いていたから、何の気なしに雪駄を履いていたのだが、施主家の玄関を入って気がつくと裸足のままだった。
いつもは結界君に坊主道具一式を積み込んで移動しているから、足袋を探しに引き返したのだが、どうしても見つからない。仕方がないから、施主さんへことわって、素足のままお経を読むことになった。寺の本堂ではだいたい素足が普通になっているから、自分としては慣れたものだが、お参りの親族の皆さんからはどうも寒そうに見えたようで、それが気にされてしきりに心配していただいた。
お経が終わって、少しお話をさせてもらった時もどうも皆さん落ち着かなくて、この度のお話はどことなくすべってしまった。やっぱり、ナンダカンダ云っても見た目のスタイルをキチンとしておかないといけないなと反省した。

万善寺の隣のお宅の話が出て、それがきっかけで、「断捨離」の話題でお茶飲み話が盛り上がった。子供の世代が街場で家を建てて暮しはじめてしまうと、よほどのことがない限り生家へUターンして田舎暮らしを始めるというまでにはいかなくなってしまう。万善寺の周辺地域では行政の空き家対策でリフォームして安く貸し出したり、Iターンを対象に補助金の制度を作ったりしてイロイロ工夫されているようだが、そういうことよりも空き家の老朽化や倒壊が進行して、周辺家屋に被害が及んだりして、そちらの方がより深刻な田舎の社会問題になっているということらしい。
「自分の家をリフォームで隣境の土壁を解体したらそのまま隣の台所が出てきましたんですよ。まぁ、ビックリしたことですがぁ〜。2軒の境の壁が一枚しか無かったんですわぁ〜。そのまんまにもできんですけぇ〜、ウチが修理することンなりまして、予算が狂うて大散財ですがぁ〜・・・」
田舎の町家はそういうことがよくあるようで、それぞれ隣近所が自分の都合を優先してお互いの承諾もないまま小規模な改修の工事をくり返しているうちに何処かで何かが狂いはじめてしまったというようなことはよくあることらしい。
「昭和の一桁は戦争でモノが足らんでそれでいっぱい苦労しとりますけぇ〜。いらんようなものでもなかなか捨てられませんけぇ〜。反対にいらんちゅうもんをもろぉ〜たりしてしまいますけぇ〜ねぇ〜。そがぁ〜なことばっかりしとるけぇ、空き家になって何年経っても、まだ大事なものが入っとるけぇ〜潰すわけにゃぁ〜いかんゆうて、結局は田舎へ帰りぁ〜せんのに、家主の年寄りが手放さんのですがぁ〜。いつ自分とこへ家が傾いてくるか分からん状態で、隣で住んどるもんは他人事じゃないですけぇ〜ねぇ〜」
延々とそんな隣近所の湿っぽい話題が続いて、お経の時間をはるかに越えた。
そろそろ、お昼時になったので坊主は中座。
外へ出ると生暖かい風が強くなっていた。夕方ごろから雲が広がってきそうだ。

IMG_1407_20160212223035906.jpg

[edit]

CM: 0
TB: 0

page top

この記事に対するコメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://tetujin29.blog31.fc2.com/tb.php/2241-6a0832e7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

page top

2017-07