工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

草取り機と彫刻 

2016/03/29
Tue. 21:08

「小学校の草取り機の溶接がとれてしまって、直してもらえないですか?」
校務技能員さんが訪ねてきて、そうおっしゃるので、「それじゃぁ、ヒマな時に駐車場まで持ってきておいてください。直しときます!」って返事をしておいたら、さっそく、その日の夕方にはすでに駐車場へ置いてあった。

さて、造ってからかれこれ10年くらいは経っているかもしれない。
PTA会長が運送屋の社長さんだった時はダンプで重たいH鋼を引っ張っていて、会長さんが変ってから後もしばらくお願いしていたのだが、そのうちなかなか云いにくくなって、吉田家の子供たちが大森小学校へ通うようになってからは、ひたすら親子の人力人海戦術で草取りをしていた。
当時の校長先生が、「グランドの草取り機があると便利なんだけどなぁ~」とつぶやいていたので、キーポンがお世話になっていることだし、図面を引いて造ってあげることにした。
ポイントは・・・1)一人で持ち運び出来るもの。2)軽量で軽トラサイズ。3)誰でも簡単に使用できる・・・この条件を用意して材料代だけで造ったら、校長先生大喜び。それから転勤移動で3代ほど校長先生が変って、今年が4代目になったばかり。

いずれにしても、ここまで便利に使ってもらって、制作者としては嬉しい限り。
5㎝のアングル鋼を溶接で張り合わせてブロックが重しの本体を作って、草取りの櫛は丈夫な炭素鋼の角材を使った。
角材の櫛はさすがに摩耗が少ないが、アングルの方は普通の生鉄だから、この10年で原型が無くなるほど見事に摩耗していた。
鉄製の草取り機も一見丈夫に見えるが、やはり石や真土には勝てない。
自然の土砂がどれだけ硬くて丈夫かということがよくわかる。

少し前から小品の彫刻を造りはじめた。もちろん素材は鉄。
久しぶりに溶接や溶断で紫外線を浴びて顔の皮膚がヒリヒリ痛む。
小品だから、作業の総距離が短くて制作時間は短い。
それで、いらないことをしてしまって失敗することがよくある。

それこそ、草取り機を造りはじめたもっと前のこと・・・具象彫刻の作家の卵が吉田家に寄宿していたことがあった。
鉄の彫刻のことや制作の技法を勉強したいと云うから、工場へ一緒に行って、私の彫刻の手伝いをしながら技術を覚えようということになったのだが、自分1人で彫刻を造っていた頃に比べて、手間が増えた分ずいぶんと時間の余裕が出来た。
今になって思うと、それが自分にとっていけないことだった。
人手が余分に加わることで、自分の彫刻の造らなくても良いところまで嬉々として踏み込んでハマってしまって造り込んでろくなことがない。
あの頃造った彫刻を石見銀山の谷間に置いて自分の戒めにしている。
人間も彫刻も、いい歳をして身の程をわきまえないまま饒舌が過ぎるのは厄介なものだ。

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