工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

朽ちる美 

2016/03/31
Thu. 23:59

構想360日、制作5日の小品が完成した。
自分としては、けっこう満足している。

ひと頃に比べると、制作に使う時間が激減している。
理由はアレコレ思い浮かぶが、結局は「人生の巡り合わせ」というヤツでググッと飲み込んで片づけるしかない。
こんなことなら、若い時に遊んでばかりいないでもっとセッセと彫刻を造っておけば良かった・・・などと、思っても後の祭り。
もっとも、たとえあの頃にたくさん彫刻を造っていたとしても、そのほとんどはどうでも良いようなろくでもない代物にしかなってなかったろう。
なにごとも、ちょうど具合のいい時期というものがあるから、今でしか出来ないことは今でしか出来ないわけだ。

小品のためにもう20年以上も寝かせた鉄板を小分けして使った。
もう少しストックがあるが、そろそろ残りわずかになって先が見えてきた。
これから先々のために鉄の素材を作り込もうと思っても、20年も風雨にさらしながらノンビリといい感じになるまで待っている時間はもう無い。
日常の暮しも彫刻の制作も、これから先は少しずつ身の回りの整理をして無駄なものを処分しながら後腐れの無いようにスッキリとサッパリとしていくことが自分の使命であるような年齢になった。

この2日間で工場の横の桜の古木が満開になった。
聞くところによると、桜の寿命は80年くらいなのだそうだ。
だから、樹齢100年とか200年とかいう桜は、よっぽど周辺の環境が良かったか、近所の誰かの手入れが良かったか、とにかく非常識で珍しいということだ。
そういうふうに意識しながら工場の行き帰りに古木の桜並木を見ていると、この数年のあいだに、大風や大雪の度に大きな太い枝木が折れて、そのあたりから腐れも広がって、次第に瑞々しい勢いのようなモノがなくなりはじめている。
私も、これからあと何年工場へ通い続けることが出来るだろうか。
ひょっとしたら桜の古木が先に枯れ朽ちてしまうかもしれない。
仕事の合間の休憩にそんなことを思いながらコーヒーをすすった。

この週末から銀座のギャラリーで彫刻作家が全国から20人くらい集まってグループ展がはじまる。島根からはワイフと私、それに今年は周藤さんが出品する。
なにかこういうことでもないと新作を造る機会が造りにくくなってしまったから、今回は久しぶりに制作を楽しむことが出来た。
かたちの造り込みで制作時間のほとんどを、鉄の古材を叩くことに使った。
錆び朽ちてもろくなるばかりにならないように、叩き鍛えておくことがかたちの張りになって緊張感が増す。
私も、錆び朽ちた鉄や桜の古木のようにカッコいい老人になりたいなぁ・・・

IMG_2069.jpg

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