工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

佐々木信平氏のこと 

2016/05/27
Fri. 16:43

佐々木信平氏が、今度浜田こども美術館で個展をされることになって、御丁寧にもご本人直筆でナンチャッテ坊主彫刻家吉田正純と島根県を代表する女流彫刻家吉田満寿美宛にリーフレットが届いた。
佐々木信平氏は島根県江津市の生まれで、浜田の高校を卒業して画家を志して上京された。その後、精力的に制作活動を続けられ現在は二紀会の理事職を勤めながら静岡のアトリエで制作の日々を過ごしていらっしゃる。
私は彫刻家だから今回の彼の絵画展の経緯はわからないが、今の島根県画壇にとっては欠かすことのできないほど実力のある重鎮であるから、出身母校のすぐ近所にある美術館の企画展示にふさわしいものだと思っている。

「ボクは、不器用でセンスがあるわけでもないから、とにかくコツコツと見えたものを丁寧に描き続けることしかできませんから・・」
かれこれ、20年以上は前のことだったと思うが、山陰地方のグループ展でお逢いした時、そのように話されていたことを良く覚えている。
「二紀会のお仕事も、このようなボクを頼りに思っていただけるだけでもありがたいことだと思って働かせてもらってます」
また別の時にはそんなことも云っていらっしゃった。
我侭放題の私など、佐々木氏とは全く別の世界で生きている。そもそも、見えたものをコツコツと写しとろうとするような写実の面倒は受験生で終りにした。
別に絵を描くとかモノを写しとるとか、それが特にイヤなわけでもないが、ワザワザ手間暇かけて現物に迫ろうとしても、やはり何処かしら表現の限界があると思ってしまう。それに、具体を借りて自分の心情を正直に表現するという行為が窮屈に感じて面白いと思えない。
表現の自由とは、色々な作家が色々な自分のテーマを色々な手段で表現しているから、色々な絵や彫刻が出来上がってそれが面白いと思える。

佐々木信平氏の属する二紀会の主催する公募展の図録には、最初の一ページに次のような「二紀会主張」が記されてある。

・美術の価値を流派の新旧に置かず、皮相の類型化を排する。
・具象・非具象を論じない。流行によって時代を誤ることを極力避ける。
・真に新たな価値を目指し、創造的な個性の発現を尊重する。
・情実を排しつつ、新人を抜擢し、これを積極的に世に送ることに努める。

まだ20代の私は、この二紀会主張に自分の制作の方向を包括して飲み込んでくれるほどのふところの広さと深さを感じた。
限りなく自己中心的で自己顕示欲が強い社会生活不適合者の集団であるような美術界で、このような主張が通用する美術組織が存在することに感動した。
佐々木信平氏のような質実の画家が二紀会を支えていることに感謝しつつ、吉田は島根の田舎でやりたいことをやりたいようにやらせていただいている今日このごろであります。

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