工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

アザミ 

2016/06/03
Fri. 23:31

飯南高原の夜はやたらと寒かった。
3畳の寺務所でデスクワークをしていると、足先が冷えて落ち着かない。
微熱でもあるのかと心配しつつ寒さを我慢していたがそれも限界になって、つい先日に衣替えでしまい込んだダウンベストを引っ張りだしてしまった。

朝は寒くて目が覚めた。
冬仕様のシュラフにくるまってしばらくイジイジしていたが、いつまでも寝ているわけにもいかないから意を決して起きだした。
庫裏の空気がひんやりと冷えきっている。
本堂のカーテンを開けると朝陽が入り込んで、見る見る暖かくなってきた。
太陽の力がこんなに凄いものだと、改めれ実感できる。

今日は墓石の業者さんが朝から寺の墓地を整地しに来る。
万善寺の墓地は、本堂の東側から人一人がやっと歩けるほどの山の斜面の細い道を200mくらい登ったところにある。
昔は保賀の谷に続く棚田から石州との境界になる山並みまで広く見渡されて絶景だった。
私が中学校へ入る頃に国道の改良工事で棚田の谷が寸断された。
その後、島根を離れている間に高圧線の鉄塔が山並みに沿って横切った。
そうこうするうちに墓地に続く斜面の雑木がどんどん大きくなって視界が狭くなった。
今では高齢化で耕作放棄地が広がって竹が細道の真ん中から伸びたりするようになった。

憲正さんの一周忌に併せて墓石を建立し納骨をする。
隣の民家も跡取り息子が帰らないままほとんど空き家状態になってしまって、周辺の農地が荒れている。今までは墓地の掃除も一年に春から秋までの数回ですませていたが、憲正さんが眠るようになったらもう少し頻繁に手入れをしておかないと、いっきに野生がはびこってしまいそうな勢いだ。

朝から3時間ほどで墓地の整地が終わって、業者さんのキャタピラが境内まで降りてきた。
挿し木からはじまったサツキがはびこって、その種が石垣の隙間でオノレ生えしたまま放置されていたものを全て刈り払ったら久しぶりに石垣が見えてきはじめた。
その石垣の隙間から春のアザミが伸びて花が咲いている。
昔は棚田の畔や畑の脇など至るところに自生して珍しくもなかったが、最近は農業の機械化と除草剤散布で見事に姿を消した。
本堂の北側の石垣のわずかに東から陽の当たる場所に張り付くように咲いているアザミを営繕作業で刈り取ってしまうのも可哀想な気がして、ひとまずそのまま捨て置いた。
アザミはだいたい同じような場所に咲くと思っていたが、その石垣のアザミははじめて見た。何処かから種が風にはこばれて根付いたのかも知れない。
草木は人間と違って根付く場所を自分で選べないから、それはそれなりに過酷なことだ。

これから一周忌の法要まで境内の整備が続く。

IMG_0668.jpg

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