工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

待機坊主 

2016/06/25
Sat. 23:49

万善寺は朝から冷え込んで1日中寒かった。
梅雨のこの時期は時々そういう日があるものだが、それにしても寒暖の差が激しすぎて自分の肉体が環境の変化についていけない。

もう数十年も前に広島へ転出した檀家さんから1か月ほど前に万善寺へ電話があって、それをおかみさんが取り次いだものだから事態がややこしくなってしまった。
おかみさんもすでに90歳を越えた高齢者だから、10年前と同じように寺の寺務を切り盛りすることが難しくなっている・・・というより、かえって混乱させてしまっている。
おかみさんとは身内でもあるし、憲正さんと坊主の師弟関係で長く付き合っていた経験から、寺の内情が少しずつ変化していることに気づきながらその時々の不具合を修正して随分以前から年中行事や年回法事をやりくりしているようなところもある。
今の万善寺くらいの規模だと寺の運営など一人で十分にこなせる。おかみさんも、もういい加減に自覚して完全引退して隠居暮らしを楽しんでもらいたいのだが、戦中戦後の激動の時代を踏ん張って生き抜いてきた人には、なかなかすんなりと割り切れないところもあるのだろう。内も外も気を使うことばかりでぐったり疲れる。

そういう裏事情もあって、たった30分で終わるくらいの上げ法事のために朝から本堂の準備をして接客の支度をして大衣まで着て待つこと4時間半。
その間に、おかみさんは何度も庫裏と本堂をヨチヨチ往復してお昼ご飯を炊いて、とにかく全く落ち着かないままイライラと過ごしていた。挙句には、自分の寺務引き継ぎのミスを私に転化し始めて収拾がつかなくなってきたところで、やっと広島から連絡が入った。
「広島の○○です。いつもお世話になってます。お寺参りですが、明日じゃダメですか?」
なんというフェイント!
「すみません。すでに明日は別の予定が入ってまして・・・」
まぁ、それぞれ事情や都合で予定の変更はよくあることだし、坊主としては受け身の状態を維持することも仕事のうちだとは思うが、さすがに今回はマイッタ・・
結局、その後広島のお檀家さんは慌てて仕事先から作業着のまま万善寺へ駆けつけてきた。
2時間以上はかかっただろう、たった30分の法事のために・・・

坊主が言うのも不届きなことだが、そこまでしてドタバタと年回法事を片付けなくてもいいというか、そういう法事でお先祖さまの供養になっているのかどうか怪しいもので、やった事で片付けるような法事はしないほうがまだマシというもの。
内心、そういうふうに思いながら、いやらしくもニコニコ顔の作り笑いで、「遠いところからご苦労様でございます・・」などと言いつつ法事を済ませた。お帰りの時も、もったいぶって駐車場から車の姿が見えなくなるまで本堂の濡れ縁に出て見送った。

その後、寺の用事をかたづけて夕方になって石見銀山へ帰った。
玄関の頭上では、すっかり大きくなったツバメの雛たちが無表情に私を出迎えてくれた。

IMG_0776.jpg

[edit]

CM: 0
TB: 0

page top

この記事に対するコメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://tetujin29.blog31.fc2.com/tb.php/2375-94933f39
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

page top

2017-10