工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

約束の一日 

2016/07/03
Sun. 23:06

坊主もある意味で商売だからそれなりに慣れているとはいえ、すでに決まっているスケジュールの通用しない予期せぬ出来事の葬儀が入ると、心身ともにぐったりと疲れる。
この2日間に、吉田家にとってはかなり前から決まっていた動かせない約束が入っていて、その約束と葬儀の時間をさりげなく調整しながら行動することは結構厳しい状態だった。
「約束」というのは、結婚したなっちゃんの義理の両親がわざわざ石見銀山まで挨拶に来るというもの。
「それぞれの両親の顔見せもないままダラダラと結婚暮らしを続けるわけにはいかない」
「きちんとケジメをつけておかないと気が済まない」
そういう話し合いがあったようだ。
私としては、特にそこまで固苦しくかしこまってものを仕切らなくても良いと思っていたから、世間の常識というものは、もっと厳しいところでスジを通さなければいけないこともあるんだなと他人事のように思いながらなっちゃんと日程調整して決めたことだったので、何が何でもドタキャンは許されないことだったのだ。

それは土曜日の朝のこと。
重く下がった雲に琴引山の頂上が隠れるほどになっていて、いつ雨が落ちてもおかしくない状態で葬儀が始まった。
前夜の通夜の時は結構激しく風が吹いていた。
「この風がやんだら雨になりそうですね」などとお茶方で手伝いの奥さんと話していたが、ひとまずその予想は外れたようだった。
葬儀が終わって、納骨も終わって、野辺帰りのお経も終わって、時膳をいただいて万善寺へ帰ったら、そこでポツポツと雨になった。往生の先代の信心功徳の御蔭があったのかもしれない・・などと思いながら衣をたたんだりしていたらおかみさんが自分の都合で幾つかの用事を言いつけてきた。すでに決まっている吉田家の約束事もあるから、ここはぐっと我慢しておかみさんの言いつけを守っておいた方が得策と決めて粛々とそれをこなしていたらワイフから電話が入った。
「いつものスーパーにお魚屋さんが入ってるでしょ。帰りにそこへ寄って頼んでおいたお造りをもらってきてくれる?そうそう、支払いはまだだからよろしくね♡!」

その夜は、初対面のご両親とワイフの力作料理と島根の銘酒七冠馬と彫刻家の友人から差し入れの赤霧島と最近お気に入りのホワイトベルグとスペインのワインとそれに急きょ帰省のキーポンが加わって飲めや歌えで大いに盛り上がった!・・・はずだと思っている。
いい感じで酔っ払って爆睡していたら、真夜中になって突然雨が激しく降ってきてあばら家の吉田家周囲から滝のように流れる水音が襲ってきた。
それから防災放送で町内へ避難勧告が発令された。
それが、私が石見銀山で住み暮らすようになって初めての避難勧告になった。
昼前になって雨も小康状態になったので町内の様子を見に出かけたら、銀山川がかなり増水して激流と化していた。
なっちゃんの義理のご両親も初めての島根で滅多にない経験をされたことでしょう。

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