工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

2016現代彫刻小品展展示台移動 

2016/07/08
Fri. 23:09

現在、現代彫刻小品展出品彫刻家46名。
過去最高の出品者数となりました!・・・が、作品点数はそうでもなく・・・というところです。

石見銀山は朝から梅雨らしい小雨が降り続いたので、裏庭から銀山川にかけての草刈りを断念して、倉庫に保管中の彫刻展示台を2Fから1Fへ移動した。
都合何往復しただろう??
蒸し暑く淀んだ倉庫の中で良い汗をかいたが足腰はガタガタになった。若い頃のように、キビキビした動きは期待できないものの、時間をたっぷりかけてゆっくりと確実に一つ一つの動作をくり返していけば、少々の身体の不具合もそこそこ乗り切れる。

もうずいぶん前の事でどんな状況の時だったか忘れてしまったが、ベテランの電工さん(電気工事屋さん)がなにげなく話している事を聞いてなるほどと思った事がある。
「若いヤツは早く仕事を片づけようと焦って無駄に体力を消耗してしまうから、すぐにバテて使い物にならんのよ」
その人は、中国電力の発電所から高圧線を延ばすための鉄塔を造るようなこともしている生粋の職人さんだった。もう、どう贔屓目に見ても60歳はいっているように見えたが、実際はまだ若かったのかも知れない。
険しい中国山地の山に入り込んで、トラックが動く限界から後は、重い材料や機材を担いで道無き道をひたすら進むところから仕事がはじまるのだそうだ。ひどい時は、一日かけて材料運搬の往復をしただけで引きあげる事もあるという想像するだけで過酷な労働だ。
とにかくこういう体力を使う仕事は、その体力を如何に温存するかが大事な事なのだそうだ。1日の仕事を半日で片づける事は物理的に無理な事がわかっているのに、若い連中は少しでも早く仕事を終わらせて楽になろうとする思いに負けて無駄にドタバタと動き過ぎるのだそうだ。それで注意力が乱れて怪我をしたりミスをしたりして周囲の同僚に余計な迷惑をかけたり、かえって作業が長引いてスケジュールが乱れてしまう事になる。

カタツムリや亀のようにノロノロと動いて怠け見えるかも知れないが、そういうゆっくりとした動作が体力の消耗を減らし、安全で確実で失敗の無い仕事の積み重ねになっていく・・・なかなか、含蓄のある重たい話だった。
その話を聞いたのは、まだ今より若くて体力も欲もあって、造る彫刻も無駄に世間へ迎合したものばかりの頃だったから、「そんなもんかなぁ〜」とか、「自分とは住む世界が違うなぁ〜」くらいにしか感じていなかった筈なのに、何故か電工さんのあの時の話はとても鮮明に覚えている。

今こうして、自分の身体をだましだましのんびり仕事を進めていて、それで特に焦る風もなく辻褄を合わせていられるのも、ヒョッとしたら、あの電工さんのことを忘れないでいられたからかも知れない。
明日は高校生と半日過ごす。どう考えても、彼等には今のジジイの心境はまだまだ理解できないだろうなと思いつつ、何時かは何かの機会にこの話をしてやろうと思っている。

IMG_0832.jpg

[edit]

CM: 0
TB: 0

page top

この記事に対するコメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://tetujin29.blog31.fc2.com/tb.php/2388-c077b6ea
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

page top

2017-10