工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

ヨレヨレオヤジ 

2016/07/15
Fri. 02:38

親子であるということが信じられないくらい、私には理解できないほどの出不精であるおかみさんが、やっとデイサービスへ出かけてくれた。
潜在的な私の性格も加味していろいろ考えるに、たぶん、内弁慶の小心者だからなのではないかと思う。そんなもんだと思ってデイサービスの職員さん相手に彼女の言うことを聞いていると、とにかくアレコレもっともらしい理由をつけて必死で万善寺の庫裏へしがみついている様子がよく伝わってくる。
これからしばらく展覧会で忙しくなるから、その前に少しでもおかみさんのかたくなな気持ちをほぐしておく必要がある。なんとか説得してデイサービスへ出かけることを納得させたが、当日の朝になっても私に聞こえるほどの近くへはい寄ってきてブツブツ言い訳がましいことをしゃべり続けていた。

夏の大衣は、取り扱いに苦労する。
生地が薄く出来ていてすぐに何処かが破れたり糸がほつれる。それに、法事ひとつでかいた汗がタップリ染み込んでいるから、それが乾かないとたたむことも出来ない。無闇に洗濯もできないし、洗い張りに出すほどの財力もない。結局は、ひと夏中、吸い込んだ汗をその都度風通しのいい本堂の鴨居に吊るして陰干しで乾かし、適度に香をくぐらせてからたたんでウコン風呂敷に包むということの繰り返しをしている。
他の方丈さんがどうしているかわからないが、私の場合はよっぽどのことでもない限り撥遣のおつとめには大衣を着て袈裟をかけることにしている。先日の撥遣もそうした。だから、汗もかいたが雨にも濡れた。おまけに縫い目のほつれが一気に広がって修繕が急務になってしまった。それを無視したり忘れたりすると次の着衣の時に恥をかくことになるので、一通り風を通して乾いた頃を見計らって針仕事をした。この歳になっての針仕事はなかなか厳しい。夜の電灯の下ではもう針に糸を通すことも出来ない。
隣町の方丈さんはそういうこともあって、町内に住む後家さんと上手にお付き合いしている。私などそんな裁量も色気もないし、それに何よりワイフが怖くて手も足も出せないビビリだから、こうしておかみさんが居ないうちに本堂の濡れ縁で繕い物をすることになる。
その大衣は、憲正さんが生前に着ていたものだ。まだ十分に新しくて隠れたところへしつけの糸まで残っていた。それでもこうして針仕事をすることになるわけだから、結局は着こなしが下手だということになる。晩年の憲正さんは両膝の具合が悪くなってまともに歩くことも難しくなっていた。そういう状態でもギリギリまで導師を勤め、ヨチヨチと本堂へ上がり下りしていたから大衣が痛むのもしかたがないことだ。それを引き継いだ私が夏衣のこの時期になって足の具合が悪いままそれを引きずっているから余計に始末が悪い。

もう、とにかく曹洞宗の坊さんにあるまじきほどの所作の乱れが半端ない。
それを思うと、彫刻家は気楽でいい。ボロボロの穴だらけの汚いツナギに長靴履きでヨチヨチ足を引きずっていると、「どうしたの??大丈夫??無理しちゃダメよ!」などとアチコチから優しい声を頂く。
さて、いよいよ本日は彫刻の搬入展示。みんなヨレヨレオヤジを気遣ってくれるかなぁ〜・・彫刻家たちの冷たい視線が突き刺さりそうでちょっと怖い。
結局は、ビビリのおかみさんとどっこいだね。

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