工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

現代彫刻小品展 やわらかな石彫 

2016/07/22
Fri. 09:31

飯南高原には10ヵ寺近くの浄土真宗寺院と3ヵ寺の曹洞宗寺院と1ヵ寺の臨済宗寺院が残っている。昭和の頃にはそれに日蓮宗も浄土宗も寺院があったが、平成になって世襲が耐えて後を引き継ぐことが出来ないまま廃寺になった。私の小学校からの同級生には浄土真宗の寺の息子がいたから、1学年80名の子供達の中に私ともう一人のあわせて二人ほど寺の子がいた。学年を越えると、上や下の学年にも寺の子がいて、兄弟や姉妹をあわせると一つの小学校全体で10人前後の寺関係者の子供達がいたことになる。
島根県のド田舎辺境の地でも、あの頃は小学校全体で500人近くの子供達がいたから、その中で10人位は寺の子がいても不思議ではない。それに、町医者も内科や歯医者や診療所が揃っていたし、駐在所だって子供の行動範囲レベルだけで3箇所にあった。農林業に従事する家庭の子が殆どなったが、小学校へ通う子供達社会でもほぼすべての職種が集まっていたから、性格も考え方も生き方も暮らしぶりもさまざまに違って、それはそれは賑やかなもので喧嘩も耐えることがなかったがそれでもそれなりに仲良しでもあったと思う。
同級生の浄土真宗の住職のパパが93歳で入寂された。万善寺の憲正さんが昨年89歳で遷化だったから長生きであった。2日ほど前には万善寺の檀家さんのおばあさんが93歳で亡くなりそれに次いでこの度のこと。飯南高原の同じ自治会で一週間連続して葬儀がでた。お手伝いの皆さんは仕事も休んでさぞかし大変だったろうが、私も結構忙しかった。

葬儀に参列して午後になって浜田の現代彫刻小品展会場へ向かった。それなりに暑い日が続いているが湿気が無くて爽やかだから気持ちのいい暑さだ。

岡山の石彫作家小林さんは、この近年万成石を割ってくり抜く彫刻を造っている。外側は万成石の特徴がよくわかる肌合いをわざと残し、外からは殆ど見えない内側をセッセと磨き上げている。石の内面に見る人の気持が引きこまれていくような感じが面白い。確か、イサムノグチの納骨兼用墓石も万成石だったような気がするが思い違いかもしれない。
福光石の採掘権を持つ社長さんが勇退されて以来、福光石がなかなか手に入らなくなった。その親戚筋に当たる石彫仏師の坪内さんも福光石を繰り抜いた彫刻を出品してくれた。内側に紙を貼って照明を光らせている。一日の展示が終わってコンセントを抜くと、福光石がほの温かい。柔らかな石肌と坪内さんの穏やかな人柄がそのまま彫刻の温もりになっているようだ。
茨城県在住の石彫作家鈴木さんは、1年の制作の殆どを野外彫刻の大作に費やしていて、環境と密接に関連し、自然と融合した、そんな感じの彫刻になっている。定期的な個展には小品のオシャレな彫刻もあって、彼のセンスの良さが伝わる。彼の石彫からは、石の持つ硬質な威圧感や圧迫感を感じることがない。丁寧に叩きこまれて出来上がった石の曲面の連続とやわらかな肌合いに彼独特の世界観が凝縮された緊張感もあって、石の存在に引き込まれる。どちらかというとまだ若い作家だと思っているが、その力量は十分にベテランの領域に達している。今年の春には、数年ぶりに銀座の画廊で彼と話すことも出来た。こうして、田舎暮らしの吉田を忘れないでいてもらえてるだけでありがたいのに、自作の小品彫刻を提供もしてくれる。彼のような高いレベルの彫刻家が出品してくれているだけでも展覧会の質的価値が上がる。
午後から半日かけてやっと全彫刻作品の撮影が終わった。

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