工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

現代彫刻小品展 浜田会場会期終了 

2016/07/25
Mon. 06:36

現代彫刻小品展も最終日を迎えた。
振り返ってみると、今回ほど厳しくて辛い思いをしたことはなかった。
とにかく予定の立たない万善寺の仏事が次々に入って、それとこれとを連動させて「あれがあるから無理です」と断ることの選択肢は最初から存在しない。いろいろやりくりをしてその場を凌ぐしかないことだから、アチコチにたくさんの迷惑をかけてしまった。
何時もは何かと人騒がせなおかみさんが珍しくこの期間中おとなしくしてくれていて助かったと思っていたら、最後の最後にまた病院の通院でワガママを言い始めた。こちらの方も悩みの種で、自分以外のダレに託すことも出来ないことだから気が重い。
会期中足の具合をこじらせてしまってそちらでも苦労したが、ここに来て一気に調子が改善し始めた。このまま2〜3日安静にしていればもっと良くなるだろうと分かっているが、これから搬出も控えているし、それも無理なことでまた症状が悪化するかもしれない。
いずれにしても、身心共に不健康な日々が過ぎている。

彫刻は全てが頑強にできているわけではない。
私の造る彫刻は結構丈夫に出来ているが、一方でとてもデリケートな素材の彫刻もたくさんある。テラコッタもそういうデリケートな彫刻素材の一つと言えるだろう。
テラコッタは、日本語的に言うと「素焼きの彫刻」のようなことになる。
素焼きは陶芸の制作過程で行う第一回目の焼成にあたる。よく乾燥させた粘土の作品をだいたい750度から1000度前後の高温で焼成する。焼成温度は作家によって色々だが焼成温度が低いと粘土の成分変化が少なくて脆いがその代わり収縮も少ないし形の変形も少ない。高温になるほど粘土が焼き締まって作品の収縮が強まりスケールに変化が生じるものの素材そのものは丈夫になる。それぞれの彫刻家の彫刻に対する解釈の範囲で粘土がブレンドされ焼成される陶製彫刻がテラコッタである。
今回の展覧会にもたくさんのテラコッタ彫刻が出品された。
林さんの彫刻はテラコッタに着色された女の子が可愛い。このくらいの大きさの彫刻は、下手をすると人形のような表情になってしまうことがあって、その境界をしっかりとわきまえておかないと彫刻としての造形性が狂ってしまうおそれがある。彼女ほどの作家歴があるから構成の緊張感をもった彫刻に仕上がっているわけで、安定した力量を感じる。
大井さんの彫刻はテラコッタ表現の彫刻であると言う前に、首像に対してとても真面目に真摯に丁寧に取り組んだ習作的彫刻と言える。首像はそのスケールがおおよそ常識的に決まった範囲で制作されることが多いから、彫刻の修得には避けることの出来ないとてもベーシックな題材であるといえる。派手さはないが、作家の力量をつぶさに見分けることが出来るので制作者としても手を抜くことが出来ない。こういう彫刻に対して直球勝負をかける潔さに好感が持てる。
森戸君は展覧会の関係で長い付き合いになる・・・といっても、私は野外彫刻ばかり造っているから木彫の彼との会話はほんの挨拶程度のことで過ぎているが、それでもやはりかなり前からの知り合いである。その木彫作家と言ってもいい彼が今回の現代彫刻小品展にはテラコッタの彫刻を送ってきた。比較的一木造りに近い大きな彫刻ばかり観ていたからそれなりに新鮮に見えた。それでもやはり、何処かしら彼らしさの醸しだされた彫刻になっている。

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