工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

ベタベタ 

2016/08/21
Sun. 22:21

日曜日のほうが都合がいいからということで、少し早めの49日大練忌の法事があった。
万善寺のお檀家さんだから当然導師は私になるのだが、何せ常日頃チャランポランなナンチャッテ坊主であったりもするから、どうも菩提寺としての風格に欠ける。
両班で随喜いただいた方丈さんの一人は、私が中学校時代の国語の先生。もう一人は、私より10歳以上も若くしてすでに住職を勤めていらっしゃる。とにかく、誰がどう見ても、役不足のヘナチョコ導師を勤めなければいけなくなった。それでも、結局はみんなで一緒に同じお経を読むのだから、お経の上手下手も3分の1に薄まるし、どうにかなるものだと気楽に考えることにした。

万善寺を出発する時に、何時になくモヤっとした蒸し暑さを感じた。お盆も過ぎた飯南高原は、そろそろ爽やかな秋の空気が漂い始める頃のはずなのに、ベトリと改良衣が肌に張り付いて不快だ。
ひょっとしたら、一雨くるかもしれない・・・と、空を見上げると、確かに雲がいつもより厚く感じる。それでも、すぐにどうこうないだろうと、結界君のリヤデッキに積んである2本の草刈機はそのままにして施主家まで走った。坊主が、業務用の貨物車に草刈機を2本も積み込んで走っている光景は、そう滅多に見られるものでもない。施主家の駐車場へ着いたら、ご親族のオヤジさんたちが結界君の周囲に集まってきて、リアデッキを覗き込んだりして、ひとしきり賑わった。
それでなくても、坊主らしい品格に欠けているところへ、改良衣に雪駄履きでウロウロと塔婆などの荷物を下ろしたりしているものだから、皆さんにとっては滅多に見られないくらいの珍しい光景に見えたのだろう。

いろいろあったが、ひとまず無事に滞りなく法事が終わった。
そのまま銀山街道を石見銀山の吉田家まで走った。まだ夏休みだからというわけでもないだろうに、 日曜日でもあるからだろう、石見銀山の町並みは観光客で賑わっていた。
何日ぶりかでクロを見た。クロの方は面倒くさそうに私をジロリと見てまたすぐに寝た。
猫はどちらかというとあまりベタベタと媚びを売ることも無くポーカーフェイスを決め込むことが多いと分かっているものの、やはりここまで普通に冷たくあしらわれると、少し寂しい。何処からかシロが鳴きながら現れたが、これも私を普通に無視した。
久しぶりだからと、犬並みにベタベタされるのをこういう時は少しほど期待してしまったが、考えが甘かった。やはり猫は猫だ。

彫刻展用の彫刻を積み込んで万善寺へ着いたら、おかみさんが曇り空の隙間から西日が差し込む縁側に腰掛けて私の帰りを待っていた。90歳を過ぎた母親が、いい加減ジジイになってしまった息子の帰りを待っている姿は、今日の湿気のようにベタベタと不快に私の心へ絡みつく。
この夏中、ほとんど万善寺暮らしが続いていたが、そろそろ潮時かもしれない。
私のような素人があれほどクセの強い老人の介護はなかなか思うようにいかない。
母親の子でもあるから、いずれ自分もそうなるかもしれないとふと思った。怖い怖い・・
空の湿気が耐えられなくなって、ついに雨に変わった。

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