工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

島根県奥出雲町の今 

2016/08/28
Sun. 18:52

この2日間、自分の現状がうまく把握できないまま、眼前の事実だけが風のように通り過ぎて行った。

現代彫刻小品展の巡回というか、第2期展が昨日の土曜日から始まった。
作品搬入から展示まで、最小の人数で動き回った数日間だったが、オープニングには徳島から松永さん、埼玉から本多さんが駆けつけてくれて、島根在住の出品者もワイフをはじめとして、たくさん集合してくれた。
現代彫刻小品展も、気がつけば10回の開催が終わった。
今回の奥出雲での開催は11回目となって、一つの節目を迎えたと思っている。

奥出雲町は、地理的には石見銀山から2時間、万善寺から1時間という、決して近い距離の地域ではないが、島根の歴史にはとても大事で私にとっても興味深い地域でもある。
世間に流れる様々な情報を整理するだけで、おおよそどういうところであるか解るとは思うが、私が島根にUターンしたもう30年以上も前から密かに興味深く意識していたこともあって、今年になって、やっと何かの形でこの土地と関わりを持つことができたわけでもある。
このあたりは、たたら製鉄の産地でもあって、あの「もののけ姫」の舞台でもあるが、こうしてこの数日間その真ん中にいると、町の様子にはたたら製鉄の賑わいが残り伝わることもなく、静かに静かに時が過ぎているふうにしか感じない。

中国地方の真ん中を東西に横切る中国山地一帯は、かなり古い昔から、人々が入植し、盛んに山の仕事へ従事した一大工業地帯でもあった。現在に残っている植林の植生は、たたら製鉄を核にしたその周辺産業の名残と言ってもいい。
砂鉄の採取や溶鉱炉に投じる炭の原木植樹など、山肌の隅々まで人の暮らしが入り込んで賑わっていた時代もあったわけだ。
集落の作り出す形状は、すべてが製鉄業関連の経年経過の中で必然的に作られた人工の産物でもある。
中国山地の至る所にたたらの神様でもある金屋子さんが祀られ、採掘や製錬業の繁栄や安全が祈念されていた。私が暮らす石見銀山にも、金屋子に所縁のある立派な神社が銀山坑道のすぐ近くに鎮座されてある。万善寺からわずかのところにも金屋子神社が祀られてあり、毎年の大祭は今でも絶えることなく引き継がれている。

まだ、自分が何をするかも曖昧なままフラフラと遊んでばかりいた頃には、今のようにここまで鉄と関わる自分がいようとは思ってもいなかった。
自分の生まれ育った環境や、自然と周辺の土地に惹きつけられる心情を思うと、どこかしら自分の意思とは関係のないところで得体の知れない大きな何かに引き寄せられているような気がする。
金属の工芸から始まった自分の造形表現が、そのうち金属の彫刻に変わって、島根各地の産地素材に惹きつけられている今がある。
残りわずかな自分の人生が今後どのように動かされていくのだろうか?楽しみでもある。

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この記事に対するコメント

搬入お世話になりっぱなしですみません。。

魅かれるものにつながって不思議なものですね。

オーイくぼぐっちゃん #- | URL | 2016/08/28 21:26 * edit *

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