工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

雪はそのうち消える 

2017/01/26
Thu. 19:28

「ぼっちゃん」・・・ほんの半世紀ほど前は、保賀の谷の人たちからそう呼ばれていた。
寺参りのお檀家さん方からも、だいたいそう呼ばれていた。

今は4軒に減ったが、当時は保賀の谷に7軒程お檀家さんがあった。
そのうちの一軒のご主人は、50歳で山仕事を辞めたあと、身体が動くあいだじゅう万善寺の寺男のように働いていただき、寺領だった昔からの寺の山に入って、境界を確認したり炭を作ったりと、マメにメンテナンスをしてくださった。
冬は山猟師が入ってくるので危険だからと、山へ入る代わりに寺の外回りの営繕をされていた。
とても器用な人で、ハンドル付きのソリを作ってくれたりもした。
そのおじさんが色々な工具や道具の使い方からメンタナンスのことまで教えてくれたことで、自然とモノ作りが好きになってきたのだろうと思っている。

さて、そのおじさんが今度のような雪がたくさん降ったあと、参道の道あけをしながら寺へ上がって、ついでに庫裏でお茶飲み話をしているときに、まだ小さかった私へ雪の世話の話をしてくれたことを覚えている。
それは、昭和38年の豪雪より前のことだった。
「雪はそのうち消えるけぇ〜、何にもせんでええんよ。人が通る1本道が空いてりゃぁ、なんとか暮らせるけぇ〜ねぇ〜」

何もしないでも、春になればそのうち消えてしまうことがわかっているのに、無理に雪かきなどして疲れるだけ無駄だ・・というわけだ!・・・ということを、最近になって痛感する。
日常の暮らしをあらためて意識すると、冬の雪のことだけでもないくらいいろいろな場面で無駄に無理しているようなことが結構あったりする。

昨日までの寒気が去ったその日の夕方に、いつものお檀家さんがユンボを動かして参道の1本道を広げてくれた。
はじめから彼のユンボを当てにしているわけでもないが、ある意味絶妙なタイミングで意思の疎通が機能していると思う。
彼の勤労奉仕は万善寺との関係だけで成立しているわけでもない。
保賀の谷のいろいろな事情に、我が身の出来事のごとく普通に粛々と奉仕されている。
少なくても、私は彼の奉仕に打算を感じることがない。

ユンボの彼は少し前まで長い間、私を「若さん!」と呼んでいたが、最近になって気がつくと、いつの間にか「方丈さん」と呼んでくれるようになっていた。
母親とワイフには「しょうちゃん!」と呼ばれている。
その「正ちゃん」と呼び続けている90歳を過ぎた母親が、昼前から雪の降り積もった境内に出て、スコップを振り回してユンボのデカイ道を迂回して1本道あけをしていた。
まぁ〜、なんと言いましょぉ〜か、お元気なことで・・・母親は永遠にボクを「方丈さん」と呼ばないだろうね・・

IMG_1374_2017012619271020a.jpg
IMG_1375_2017012619271219c.jpg

[edit]

CM: 1
TB: 0

page top

この記事に対するコメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

# |  | 2017/01/26 21:48 * edit *

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://tetujin29.blog31.fc2.com/tb.php/2558-286fb279
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

page top

2017-06