工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

寒雀 

2017/01/28
Sat. 16:33

毎朝のように日の出を待ってにぎやかに騒いでいた保賀の谷のつがいのカラスが、冬になってから忽然と消えた。
そのことに気づいたのはもうそろそろ1ヶ月は前のことになるから、彼らも渡り鳥のように冬前から何処か温かいところへでも移動したのかと思っていた。

今回の寒波が収束して一気に暖かくなった昨日の朝、聞き覚えのあるカラスの鳴き声を一瞬聞いた・・・ような気がした。
それで、渡り廊下の3畳のガラス窓を開けて空気を入れ替えながらしばらく周囲の音に集中していたが、その後、山鳥や雀は鳴きながら何度か目の前を飛び交っていたのに、カラスの鳴き声を聞くことはなかった。
「きっと保賀の谷のカラスではなかったのだろう」と日が暮れるまでにはほとんど忘れかけていて、回覧板を配ったり食料の買い出しをしたりして夕方の冷え込みが深まる中、大荷物を抱えながら参道を登っていたら、カラスが鳴いた。
今度はシッカリとそれを聞いた。
温かい頃とだいたい同じような場所で2羽が鳴き合っていた。

つがいのカラスが鳴き合っている時は、まだもう少し寝ていたいと思いつつそれで目が覚めたりしてそのノイズを迷惑がったりもしたのに、聞こえなくなったことに気がつくと、「あいつらいったいどうしたんだろう?」と気がかりになってしまったりする。
都合のいいことだが、ようするに、そういう些細な事が気になってしまうほど寺暮らしが暇なのだということなのだろう。

1月最後の江津行きの日だったので、8時過ぎに万善寺の3畳を出た。
昨日は溶けた雪が参道を川のように流れ下っていたから、今朝はそれが凍ってかなり危険な状態だった。
こういうこともあるからと用意しておいたトレッキングステッキを駆使して、溶け残った雪の上を選んで慎重に下った。
雪の結晶が朝日に反射してキラキラ光っている。
結界君は放射冷却にさらされて、凍り固まっていた。
ドアゴムが張り付いて運転席へ乗り込むのも一苦労だった。
暖機運転でガラスの霜が溶けるまでの間、保賀の谷を歩いた。
万善寺の隣と前の家は、2年前までは、その家の玄関先まで道が空いていたのに、今年は空き家になったまま雪の中へ埋まっている。
1軒は出雲市でご親族が暮らし、1軒は息子さんが神戸へ家を建ててしまった。
隣の家の老夫婦がまだ元気だった頃、棚経でお邪魔するたびに息子さんの自慢話をされていたことを思い出す。
「校長を退職して楽になると思っとったら、今度は幼稚園の園長も引き受けたようなことを言っとりまして、まだまだ、こっちへ帰れそぉになさそうですけぇ〜」
(もう、そこまでいったら、老後に田舎へ帰ることなど無いだろうに)・・・
まるまると冬ぶとりした寒雀の群れが頭上でやかましく鳴きながら飛び交っていた。

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