工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

思い出した・・ 

2017/04/18
Tue. 10:12

今から1ヶ月ほど前のことになる。
キーポンの卒業式やお彼岸やお檀家さんの四十九日法事などが幾重にも重なって身動きできないほどだった頃、ふとした拍子に、そろそろ私が敬愛していた「安西水丸さんの祥月命日じゃないかなぁ」と思い出すことが何回かあった。
結局は、蝋燭線香を灯すとかお経を読むとかそういうこともなく、普通にあの人の映画の本の事とか、キネマ旬報のイラストのこととか、そういうモノを只々思い出すだけのことで、懐かしむくらいのことなのだが、何かしら忘れられないで自分の記憶の何処かへ張り付いているようなところもある不思議な人だ。
ある意味、自分の父親や母親が死んだ後に、日常の暮らしの積み重ねの過程で突然彼らの記憶が蘇って懐かしがったりする、そういう感じに近いかもしれない。

この数日間は、2tアルミのレンタカーを借りて長距離を移動したり、連日結界君と一緒に石見銀山と飯南高原を往復し続けたりして、書斎にこもったりデスクワークを続けたりすることがなかったから、当然、デスクトップやラップトップに触ることもないし、プチプチとキーボードを叩くこともなかった。
備忘録の方は、宗門の手帳に用事をメモする程度で済ませるし、その日の天候がどうとか、誰に逢ったとか、何に感動したとか、そういうことはどんどん忘れてしまって、改めて思い出そうとしても全く脳味噌が反応しないまま数日前の出来事が空白のまま取り残されていく。

万善寺の鍵を開けて片付かない庫裏の様子が視界にはいると、自分の思考スイッチが「片付けモード」に切り替わって、ひたすらウロウロと動き回っている。
ふと気がつくと、石見銀山の吉田家を出発して万善寺の庫裏の玄関を入ってもう2時間が過ぎている。
今日は、午後から夜にかけて法類寺院の大夜があって、明日は朝から本葬が始まる。
先代の憲正さんが頼りにしていた弟弟子さんの本葬だから大事なおつとめだし、こういうことを日常の慌ただしさに埋没させてはいけない。
どこかで気持ちを切り替えて乱れた習慣を整理しておかないといけないし、もうそろそろ自分の記憶力に自信が持てなくなってきたし、この時を逃すと、またダラダラと目先の用事に流されそうなので、庫裏の中では比較的片付けが進んでいる、3畳の書斎部屋へ半日ほど閉じこもることにした。

境内まで乗り入れた結界君に荷物を積んだままになっていて、その中にMacBookも入っている。3畳の寺務所兼用書斎へ閉じこもるにはそれがないと始まらない。
気がつくと、iPhoneも運転席横へそのまま残っていた。
ルームミラーに写った自分の顔が、やたらとむさ苦しい。
そういえば、しばらくバリカンも当ててないし髭も伸び放題だ。
「このむさ苦しさは何処かで見たような・・・そうだ・・・水丸さんの無精髭だ!」
自分の顔が水丸さんに似ているわけ無いが、しばらくぶりにまた彼を思い出した。
安西水丸さんは、もう3回忌は過ぎたと思う、3月19日が祥月命日だったはずだ。

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