工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

草衣の心 

2017/05/13
Sat. 23:52

たぶん、こういうめぐり合わせなのだろう・・・
思い返すと、今年に入って限りなく専業坊主に近い暮らしが続いている。
万善寺くらいの寺で専業坊主は、ほとんど無収入に近くて、圧倒的に支出が増えて、完全に赤字の運営が続く。

まだ副住職で兼業坊主だった頃、だいたい一つの寺を専業で運営維持できるのは最低200軒のお檀家さんが必要だと、どこかの同業から聞いたことがある。
住職を引き継ぐとき、本来「晋山式(しんざんしき)」なる住職交代の大法要を挙行し、檀家を始め地域の皆様や、組寺、法類寺等へ随喜手伝いをいただきながら広く告知して新命の任につく。
先代の憲正さんは、こういう坊主人生一生の大行事を、昭和26年頃に行っていて、本堂の書類を整理している時にそのアルバムを発見した。
万善寺の小さな本堂の前で撮影された記念写真は、随喜坊主、檀家衆、可愛らしい稚児さん、その他地域の皆様総勢200名ほどが憲正さんを中央に神妙な顔で写っている。
それから半世紀以上過ぎた現在、正純の晋山式など夢のまた夢のことになって今に至っている。
先ごろ遷化された大方丈様のお弟子様が、5月の末に晋山式をもって晴れて先代を引き継ぎご住職になられる。
私も、その寺の法類寺で随喜することになる。
さて、そのお寺でどのくらいのお参りになるか・・・

昨年からお話を頂いて1ヶ月に2回ほど通わせていただくことになった全寮制キリスト教系の高校へ行ってきた。
今年は3人の生徒が美術を選択して、2回めの授業ともいえないような授業をすませた。
「それでは、もう終わりの時間がきたようで・・・」などと、神妙な顔で授業をまとめ始めたら、その3人の生徒と、担当の先生が「♪Happy Birthday〜〜♫」と歌い始めた。
そういえば、昨年も4月の最後の授業が終わった時に校舎の生徒昇降口へ呼び出されて全校生徒から祝福の歌を頂き、代表から寄せ書きを頂いた。
授業が終わって、美術小屋の教室で突然に祝福の歌が始まった時は少々驚いたが、3人の生徒から全校生徒を代表して今年も同じように寄せ書きも頂いた。

古キャンバスの絵に紙やすりをかけて、古い油絵の具で下地を描き足した。
この油彩の授業に向けて、万善寺から私の40年前の油絵の具と50年前のパレットや油壺を持参した。まさか、半世紀も過ぎて自分の使っていた昔の油彩道具が再生しようとは思ってもいなかった。憲正さんと俊江さんが大事に捨てないでおいてくれた御陰がこういう時に役立った。二人がモノに託した思い出は、かなり老朽して見た目はボロボロで汚れきっていてもシッカリと役にたってくれている。

キリスト様の祝福を得たナンチャッテ坊主はとても幸せな気持ちになれた。
「草衣心似月」の境地とはこう云うことなのかもしれない。ふと、そう感じた。

IMG_1765.jpg

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