工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

落ち葉の役割 

2017/05/26
Fri. 23:24

万善寺墓地の永代供養墓建立作業がはじまった。
いつもお世話になっている石材屋さんから職人さんが重機と一緒に境内へ上がって、そこから本堂東側を迂回して山道を墓地まで登る。
ユンボやキャタピラが大活躍して、いつもは雑木林の葉音と鳥の鳴き声程度しか聞こえない静かな墓地が一気に賑やかになった。

私は、自分で「これが良い」と勝手に思っているだけのことだが、墓地の本格的清掃は1年に2回しかしないことにしている。
その前後の天候によって若干狂うこともあるが・・・
1回目は8月11日、2回目は11月22日。
それ以外は、幾つかのご縁日に併せて墓参した時、ときに応じて活けものを替えたり、長い杉枝や朽ち落ちたコナラの枝などを取り除いたりする程度で済ませている。
だから、地面が見えているのは、8月のお盆から9月のお彼岸くらいまでで、あとは墓地の全体がほぼ1年中落ち葉の絨毯を敷き詰めたような状態になっている。
これは、墓掃除が面倒でそうしているわけではなく、墓地に眠っていらっしゃる歴代大和尚さまや亡僧さまやお寺に縁の深い寺族のご先祖さま、それに有縁無縁のみなさまが、自然の過酷に悩まれること無く安心して落ち着いて御休みいただくためのことである。
こういう、墓地管理のワガママが通せるのも、万善寺が田舎の里山を背にしてポツンと建っている立地条件があるからだ。
境内地に墓地があるような混雑した街中のお寺であったら、こういうことは他人の常識の目や口が許さないことだろう。
幸いにして、万善寺墓地は檀信徒や地域住民の日常の暮らしからは縁の切れたような環境にあるから、住職の我儘な管理が許されているわけだ。

職人さんが1日の作業を切り上げて報告と次の段取りを伺いに来たから、作業の進捗状況を確認した。
納骨のスペースも、合葬にして小さな石板プレートを添える程度の小規模なものだから、「簡単な井桁が出来ているくらいで良いかな?」と思っていたら、鉄筋を組み込んだたいそう大掛かりな工事になっていてビックリした。専門業者さんの都合もあるだろうから、状況の説明を聞いて、了解した。
「杉葉があるのが良いですがぁ〜」
墓地の急な坂道をヨチヨチ下りながら職人さんが言った。
「これがあるから、雨を吸ってくれますけぇねぇ〜。昇り降りも滑らんで楽ですけぇ〜」
「そうなんですよね。できるだけこのままにしておくようにしてるんですよ」
「落ち葉も役に立つもんですけぇねぇ〜。これがないと土は流れるし草は生えるし、厄介ですがぁ〜」
なんとなく、我儘住職の真意を察してもらったようで嬉しくなった。
先亡精霊の皆々様が自然の暑さ寒さにさらされないようにとの配慮があったが、職人さんの数多くの墓地や墓石と付き合った経験の現実から出た言葉に、自分の背中を押してもらった思いがした。

IMG_1822.jpg

[edit]

CM: 0
TB: 0

page top

この記事に対するコメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://tetujin29.blog31.fc2.com/tb.php/2651-d9f01193
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

page top

2017-06