工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

クロのシッコ 

2017/05/30
Tue. 23:20

ワイフも私も立て続けに吉田家を留守にすることが増えた。
石見銀山の町並みに鳥の鳴き声がそろそろ聞こえ始めるくらいの早朝に自宅を出発して、1日中アレコレと用事をして帰宅するとすでに夜の10時になっていたりする。
そのせいかもしれないが、クロのストレスが溜まったのだろう、気がつくとワイフや私の布団のど真ん中でオシッコをしたり、人間の通り道のど真ん中で未消化のネコ飯をタップリと吐いていた。

ネコシッコプンプンの布団を、ワイフは吉田家の、そして私は万善寺の、それぞれ風呂へ持っていって踏み洗いする。
ワイフの布団は羽毛で軽くてすぐに乾いたが、私が使っていた綿の敷き布団は水に濡れて重たいのなんの・・・
浴槽にお湯を張って、洗剤を入れて、おったりたたんだりひっくりかえしたり・・・とにかく、強烈な重労働になった。
期限付きの済まさなければいけない用事や法事などが重なったうえに、布団の踏み洗いまで加わって、もう踏んだり蹴ったり散々。
唯一の救いは好天が続いていること。

3日間連続で朝から夕方まで裏表ひっくり返しながら結界くんの屋根や万善寺の参道のど真ん中へ広げた敷布団は、4日目にしてようやくなんとなく乾いた。それでもどこかしら湿っぽいから今は西日の良く当たる庫裏の縁側へ広げて敷いて、時々外仕事の休憩で寝っ転がったりしている。
クロのシッコのシミや匂いはとれたが、漂白のしていない綿から出たシミが布の生地に染み付いてそのまま乾いてしまった。
干した布団の、どこかしら埃っぽい乾燥の匂いを久しぶりに嗅いだ気がする。
若い鶯がずいぶん上手に鳴けるようになってきた。
スズメに混ざってセキレイの尖った鳴き声も聞こえてくる。
遠くでは例の保賀の谷のカラスが鳴き合っている。

眠気がやって来てウツラウツラしながら何気なく布団のシミを見ていたら、そのカタチが鉄の彫刻に重なってきた。
結局は偶然のことだから、それがそのまま煮詰まって、彫刻の造形へ昇華するようなこともないだろうが、何かのひらめきとか造形のキッカケくらいにはなる。
ひと昔前なら、ガバッと飛び起きて何枚もメモしただろうくらいの発見だったが、今はむしろかなり冷静に造形の工程を意識しながらボンヤリと取捨選択していたりする。

クロのシッコが、鉄の彫刻へ繋がってくるなど思いもしないことだ。
彫刻の制作も長く続けていると、やはりその蓄積の何かが自分の脳味噌を刺激する素材と認識して反応してくれたのだろう。
こういう、何気ない日常の繰り返しに、鉄の彫刻のことが組み込まれて噛み合っているということがわかって、なんとなく嬉しかったなぁ・・・

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