工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

人間の都合 

2017/06/10
Sat. 23:14

幾つかの用事を済ませて休憩しながらメールチェックをしていたら、境内の端にある蔵の方でスズメたちが一斉に鳴き始めた。
最初、その鳴き声がスズメなのか気づかないほど何時もと違って断続的に一定の間を置きながら合唱しているふうに聞こえた。
どうも、何時もの長閑な雰囲気が伝わらないし、むしろ合唱の規則性にどこかしらただならぬ緊張感も伝わってくるので、玄関に回って鳴き声のする方向を見てみると、やたらにひょろ長い口縄が今は物置代わりに使っている昔の外トイレのドアにしがみついてウネウネと動いていた。
そのすぐ下の踏み台に人間が食べる時期を失ってしまった古々米を入れた器があって、チョットしたスズメたちの食堂になっている。
口縄は、そこに集まるスズメたちの匂いを敏感に感じ取ったのかもしれない。
それにしても、10羽以上のスズメが、一定の距離を置いて一斉にその口縄の方向を向いて緊張しながら鋭く鳴き続ける様子はなかなかの迫力である。
彼らの危機に対する防衛の手段なのだろうが、自然に生存することの厳しさを見た気がした。
珍しい光景だから、手元にあったiPhoneカメラを使った。
スズメは、一見人懐っこい鳥のように見えるが、実はなかなか警戒心の強い臆病な鳥で、人間との距離がすぐに縮むことがない。
農村地帯では、トコトン害鳥扱いされてさんざん人間にいじめられてきたから、いつのまにかそういう情報が彼らのDNAに蓄積されて子々孫々まで引き継がれてきたのかもしれない。人間の日常に入り込んで、上手に人間を使いながら子育てをして、用が済むとサッサと何処かへ飛んでいってしまうツバメのような図々しい度胸はない。
人間の暮らしの都合だけで、相手を選んで、勝手に可愛くも憎くもなる。
自分が気づかないうちに自分の感情に都合よく刷り込まれた人間の身勝手な傲慢さに気づく。
一匹の口縄から1mも離れていないところで、大騒ぎして警戒を伝達するスズメたちを見ていると、人間に対しての警戒心がどれだけ強いかよく分かる。

今年の万善寺参道脇の田んぼは、小豆を栽培するようだ。
先日大きな農耕機が入って豆の種を撒いて、その後獣よけの電熱線が張られた。
そろそろ小さな双葉が規則的に一直線に並んでのぞいている。
その小豆畑へ獣の足跡がジグザグに続いている。
「あの足跡はなんですか?」
「あれは、たぶん猪でしょうね。芽が出て少し立つと今度はウサギですよ。あの柔らかいのが旨いんでしょうね」
「それで電熱線ですか?」
「この間隔じゃ、ウサギまでは・・・」
草刈りの合間に作業中のお兄さんと少し話した。
本来なら、水を張って稲を育てる水田の転作が水を嫌う小豆というのもおかしなことだ。稲が小豆に変わってウサギが害獣になりつつある。これも人間の身勝手な都合だね。

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