工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

富山野外彫刻環境整備 

2017/06/11
Sun. 23:55

時々必要になった時お世話になっている銘木屋さんから、杉と松の板を仕入れた。
杉は、幅が40cm以上はほしかったので、4mのものを苦労して取りだしてもらった。

「最近、松は人気がないんですよ・・」
その材木屋さんは地物の木材を仕入れていて、それなりに信用もできて安心なのだ。
松も今どき地物の良いものはなかなか手に入らないから貴重で高価だと思っていたら、建築関係の世界では全く人気がなくて使われることもほとんど無くなったのだそうだ。
「細工が面倒で時間がかかって仕事が遅れるし、良いことがない」・・・のだそうだ。
万善寺のような島根県の山の中の雪の多いところのある小さな寺は、まずは見た目より雪害対策を優先して、屋根や柱などいたるところに松を使っている。
少々ねじれようが曲がっていようが松脂が滴ろうが気にしない。
庫裏は大正時代に改築か増築かされたらしいが、居間の鴨居の一部からはいまだに松脂がにじみ出ている。
棚経で訪問する家も、何軒か似たような苦労をしていて、「暖かくなるとこれだから・・」困っているんだと、松脂の滴る鴨居の真下に新聞紙が敷いてあったりする。
そういう、少々大工泣かせだったり施主泣かせだったりがあっても、やはり地物の肥松をふんだんに使った純和風の住宅は、今どきの2×4の壁だらけの積み木のような味気ない住宅とはくらべものにならないほどの風格や趣がある。

「カナダ産のヒバを近所の温泉施設へ治めることがありましてね・・」
何処で何に使うのかと聞いたら、「露天風呂の一部へ架ける橋を造る」ということで、いくらヒバが腐らなくて丈夫だといっても、それは少々無理があるのでは・・と思いつつ、云われたように希望通りのヒバを納品したのだが、出来上がってみると、それから数年のあいだにアッという間に腐って使えなくなってしまったそうで、「そもそも、カナダの寒いところで育った木を日本の温暖な島根の、それも湿気の多い温泉の一部に使うという発想そのものに無理があるんですよ」というわけだが、それも「商売でお金になれば」と割り切るしかなかったそうだ。
こういう業者泣かせの話が聞けるのも、たまには楽しいものだと、他人の不幸を身勝手に喜んでいたりする。彫刻を造りながら色々な業者さんとお付き合いさせてもらいつつ、一方で坊主家業の先々で漏れ聞く愚痴話もあったりして、そういう業界がらみのマニアックな話題は実に面白く、また良い勉強にもなる。

毎年、雪が降らないことのない山陰地方で暮す私にとっては、野外彫刻と雪の関係はとても重要な制作上の工夫に繋がっている。
富山へ野外彫刻を置かせてもらっている幾つかの借地を3日間かけて草刈り整備を終わらせた。今年は、春先から私事で寺暮らしが続いていたから、草刈りも回数が減って気になっていたが、知らない間に地権者さんがキレイに草刈りをしてくれていたりして助かった。
たかが草刈りだが、されど草刈りでもある。
彫刻が縁で、草刈りをしようという気持ちになってもらえていることがありがたい。
近年めっきり疎遠になりつつある自然との距離が少し縮まった気がする。

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