工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

野生の目 

2017/06/21
Wed. 23:53

予報では、今年の梅雨始まって以来の激しい雨になるようなことを言っていたので、一日の万善寺仕事を早めに切り上げた。
結界君を駐車場に止める音を聞きつけて、あわよくば脱走できるかもしれないと期待しながら土間の角へ身を隠すクロを気にしながら慎重に玄関障子を開ける。
いつもだったら何処かでクロの気配を感じるのだが、それがない。
「さては、二階で爆睡してるな!?」
そうも思ったが、ずる賢いヤツの脱走戦略かもしれないと、気を抜かないまま荷物を運び入れた。
「ただいまぁ〜」
「あぁ〜、おかえりなさぁ〜い!クロが脱走してるからね」
・・・それか・・・!
気配を感じない理由がわかった。
そういえば、裏玄関のドアが少しほど開けてある。そうしておけばそのうち何事も無かったように無表情のクロがソコから入り込んで一件落着となる。

帰宅してまだ腰掛けてもいない私の足元をすり抜けていつものご飯場所に直行したクロがガツガツ飯を食べ始めた。裏庭の何処かで私の帰りを確認していたのかもしれない。
ワイフ曰く、近所の奥さんと玄関先で立ち話をしているスキに脱走を成功させたらしい。
彼女は猫を外に出すことを極度に嫌がっているわりに、失敗が多い。
クロは完全にワイフの行動を読み切っているふうで、彼女のスキを探すのが実に上手い。クロはこの5年間で幾度となく野外を経験しているから、それなりの危険も分かっているだろうし、外でつまみ食いをするような猫に育てていないから自由にさせてやっても良い気がするのだが、ワイフはそれがイヤらしい。

万善寺でひとりメシをつくる時は、余った食材とか萎れきったお供えの果物とかを刻んで野生の連中へおすそ分けしておく。そうすると、長くて一晩の間にほぼ綺麗になくなって容器が空になっている。私一人の暮らしだからおすそ分けの量も微々たるものだが、野生の彼らは私の動きを何処かで目ざとく確認しているようだ。
スズメたちの方は、少しずつ私の様子に慣れてきたようで、以前に比べると随分警戒の距離が近くなった。
だいたいは、そろそろこの時期になると境内のいつもの場所で日光浴をしているマムシを見かけるのだが今年はまだ見ない。

前住職夫婦は、万善寺周辺の野生をことごとく目の敵にして暮らしていた。そういうこともあってか、当時の寺の周辺は野生の仕業でひどく荒れていた。お墓のお供えも墓地の各所へ散乱していたし、花入れの青葉もすぐに引き抜かれてしまって散々な状態だった。
昨年の憲正さん墓石建立から今年の永代供養墓と俊江さんの墓石建立まで、このところお墓参りが続いているが、雑木の春枯れの落ち葉が一面に散らばっているくらいで乱れたふうでもない。吉田家のクロもそうだけど、野生は正直で嘘をつかない。
万善寺住職吉田正純は、幾つもの野生の目で見つめられているようだ。

IMG_4784.jpg

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