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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

ヤモリのシーズン 

2017/07/21
Fri. 23:46

またヤモリのシーズンになった・・・といっても、ヤモリは1年中いると思うんだけど、とにかく、暖かくなると少しずつアチコチで見かけることが増えて、梅雨が終わる頃からいっきに活動が活発になって、だから目撃の回数も増えて、「ヤモリのシーズンになったなぁ・・」と錯覚してしまうのだろう。

ヤモリというと、高校生になってすぐの1年半ほど下宿をしていた家の窓へ夜になると何処からともなく現れて張り付いていた。
高校生の頃は、午前0時前に寝ることなど無いほど常習的に夜更かしをしていたから、窓からもれる灯を目指して集まってくる虫達も多いし、ヤモリの捕食には都合の良い環境を提供していたわけだ。
夜更かしといっても、ひたすら勉強ばかりしていたわけでもなくて、ひと通り予習などが終わったら、あとは深夜のラジオを聴きながら小説を読んだりしてダラダラ過ごすという悪循環が続くといった具合だった。

その下宿は、自室の施錠ができない造りになっていて、個室の環境があまり良くなかった。
1年が終わる頃には少し慣れるだろうと思いつつ我慢して暮していたが、そのうち、自分が留守のあいだに誰かが部屋へ入ってアチコチ物色した形跡が感じられるようになって、それがしだいに具体的な物証に変わってきたから、このまま見逃すともっとヤバいことになりそうだったので、2年生の夏休みをはさんで下宿を変ることにした。
時期的に云うと、丁度今頃のことだったが、荷物を整理して段ボールの山に埋もれながら夏休みを待ちつつ夜更かししていたら、文庫本の開いたページを目掛けたようになにかが上から落ちてきた。
だいたい、日常の暮しの中で、こういうシチュエーションに遭遇することなど滅多に無いことだし、夜中のことでもあるし、その上ねっからのチキンボーイだから驚いたの何の・・・!
最初何が降ってきたのか見分けもつかなくて、また確認の余裕もないまま本をバサリと閉じて放り出してしまった。
段ボールの方まで飛んだ文庫本がピクピク動くのが見えて、余計にビビったが、そういう状況をそのままにしておくわけにもいかないし、近づいて確認すると、その本の中からヤモリがクネクネ這い出てきた。勢い良く本を閉じたことで、ヤモリも若干のダメージを受けたのだろう、動きがヨタヨタしてぎこちない。
意を決して摘み上げたら、「キーキー」と鳴いた。
「ヤモリって鳴くんだぁ〜」
その時はじめて知った事実に驚きつつも、「可愛いヤツだなぁ〜〜」とも思って、いっきにヤモリとの距離が縮んだ気になった。手の平のヤモリはヒンヤリと冷たいまま動かない。
本に潰されたあとだから、「このまま死んでしまうのかなぁ〜」と心配になって、しばらくジッと眺めていたら、少しずつシッポや手足を動かすようになって、それから手の平で身体をクネクネ動かして指のあいだへ頭を突っ込んできた。その力が自分の手に伝わってきて「これは、生返ったな」とわかって、すこし気楽になった。
そのヤモリは、ガラス瓶の中で小さな蛾を食べながら引っ越しの日まで一緒に暮した。

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